オタク文化の巨大祭典「コミケ」が抱える悩み 東京五輪の影響で開催できる場所がない!
夏と冬に年2回開催される「コミックマーケット」(通称・コミケ)。2015年に40周年を迎えたこの同人誌即売会は、3日間にわたり50万人以上を動員するイベントになった。11日間で81万人を動員する、東京モーターショー(2015年)に次ぐ規模だが、1日当たりの動員数ではモーターショーの倍以上だ。もはや日本最大級のイベントといってもいい。
アマチュアの表現の場として誕生したコミケは今、多様な顔を見せる。人気作をパロディ化した2次創作と呼ばれるマンガを軸に、小説やノンフィクションの同人誌が出展。この20年間ほどはPCの普及で、ゲームや音楽、映像作品も増えた。最近では3Dプリンタを使ったフィギュアなども見られる。
東京五輪で会場不足が露呈
だが懸案も出ている。コミケの規模が拡大したのは1990年代以降で、1996年からは会場を東京ビッグサイト(東京国際展示場)に移した。それが2020年に開催される東京オリンピックの余波で、会場不足の問題に直面しそうだからだ。ビッグサイトはオリンピックのプレスセンターとして2019年夏から使用されることが決定。2019年夏・冬、2020年夏のコミケは、現状のビッグサイトでの開催は不可能な情勢である。
コミケの実現が危ぶまれる中、東京都はこの2月、ビッグサイトの拡張棟と東京テレポート駅そばの仮設棟の建設を発表。ただ、後者は2019年4月から2020年3月までの限定措置で、2020年夏のコミケに対応できず、解決の糸口が見えたとは言い切れない。
コミケの出展者にはそれだけで生計を立てている者もいる。売り上げをコミケに依存する印刷業者も少なくない。もはや一定の人々の生活を左右するほどのものなのだ。
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