トヨタの“冷徹”な計算、GMとの合弁を清算へ
トヨタ自動車は米ゼネラル・モーターズ(GM)と折半出資する合弁会社、NUMMI(カリフォルニア州)の清算を事実上固めた。NUMMIは2008年にはトヨタ車27万台、GM車7万台の計34万台を生産。主力生産拠点では初の閉鎖となる。
1980年代の日米自動車摩擦を受け、NUMMIが稼働したのは84年12月。トヨタには初の米国現地生産を、GMには小型車生産のノウハウを学ぶ場でもあった。
が、今年6月1日のGM破綻後に、新生GMが合弁事業からの撤退を決定。トヨタは単独で運営するか、清算するかで、岐路に立たされていた。
西海岸にはほかにトヨタの工場がなく、約4500人の現地従業員を異動させるのは困難で、必然的に解雇を伴う。トヨタを追って日系部品会社も約30社が進出している。雇用を何より重視してきた姿勢を考えると、本来採れる選択肢ではない。だが最終的にトヨタは合理性を選んだ。
「継続することはビジネス上、たいへん難しい。これからカリフォルニア州で環境規制が厳しくなり開発費など新規投資もかさむ」(トヨタ幹部)。
NUMMIは生産設備が古いうえに、トヨタの米国拠点で唯一、全米自動車労組(UAW)に加盟しており、賃金なども高い。年40万台(トヨタ車のみ)の生産能力に対して、09年前半の稼働率は3割前後にまで低下している。
数百億円の損失か
今後は、NUMMIで生産していたカローラはカナダ工場へ、小型トラック「タコマ」はメキシコ工場などへの移管が想定される。資産査定をしたうえで設備除却など数百億円の損失も見込まれる。
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