トヨタの“冷徹”な計算、GMとの合弁を清算へ

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交渉次第だが「破産法を申請したGMは負担が減殺されるため、ウチの方が多く負担を被る」(トヨタ幹部)懸念もある。それでも継続すれば、中期的に生産性低下や在庫増などマイナスが上回る、と判断したようだ。

今後は北米に残る6工場の扱いが焦点だ。北米全体の年産能力は195万台で、日本からの輸出100万台(08年度)を加えると合計300万台弱。対して今期の北米販売台数見込みは186万台。単純に差し引くと市場で100万台超が供給過剰となる。

中でも注目は06年に立ち上げたテキサス工場だ。不振のピックアップトラックの専用工場で、他車種に代替できず、経営陣の頭を悩ませている。またプリウスを生産予定のミシシッピ工場もいまだ稼働が凍結したままだ。

これらを含め工場間での車種移管、場合によっては、さらなる「閉鎖」もないとは言い切れない。主力工場閉鎖という前例なき決断を下した豊田章男社長の次の一手が注目される。

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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