巨象トヨタを苦しめる負の遺産、“絶頂からの転落”を徹底検証《特集・トヨタ土壇場》

巨象トヨタを苦しめる負の遺産、“絶頂からの転落”を徹底検証《特集・トヨタ土壇場》

そのとき、議長を務めていた渡辺捷昭社長(当時、現副会長)の顔が、みるみる引きつった--。

6月23日に愛知県豊田市の本社で開かれた、トヨタ自動車の株主総会。総会も終盤に入ったころ、ある株主が質問に立った。「渡辺さんがトヨタを2・2兆円の黒字から4500億円の赤字にした。ギネスブックにこの赤字を申請したらどうでしょうか。もう破られることもないと思うので」。丁寧な口調ながら“褒め殺し”ともとれる確信犯的な“提案”に、議場は一瞬、静まり返った。

これに対し、渡辺氏はすぐ冷静さを取り戻し、「ご意見は今後の参考にさせていただきたい」とかわした。まさに今のトヨタの苦境を象徴するような一シーンだった。

大幅営業赤字の本質は 奥田時代からの拡大路線

前期に4610億円、今期には8500億円もの営業赤字に転落する見込みのトヨタ。営業赤字は59年ぶり、最終赤字はなんと71年ぶりのことだ。絶頂期だった2008年3月期に比べると、今期業績は売上高で10兆円、営業損益では3・1兆円も吹き飛ぶ計算になる。

トヨタの収益構造は意外にわかりやすい。「販売量」と「為替」の2大要因でほとんど説明できるからだ。今期見込みの減益要因のうち、販売台数減で8000億円、円高では4500億円のそれぞれマイナス。今期の連結販売台数650万台は、頂点だった891万台から、マツダ2社分に相当する240万台が消滅した。為替変動も02年の1ドル=125円から比較すると、30円も円高に振れてしまっている。

だがこれを、昨日今日の経営判断の結果ととらえると本質を見誤る。実は奥田碩社長体制がスタートした1995年以降、トヨタの拡大路線はすでに進んでいた。設備投資は減価償却費をつねに上回り、ピーク時には1・5兆円台まで膨張。従業員数もこの10年に10万人以上増えている。雇用や設備を維持するため、国内生産に占める輸出比率は6割を超えたが、これは日米自動車摩擦で揺れた80年代も上回る数字だ(下グラフ)。


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