日本はスペイン無敵艦隊の「二の舞」になる 元国税調査官が分析する「消費増税」のリスク

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
消費増税、軽減税率の問題に揺れている日本。今後はどうなるのでしょうか(写真 :bee / PIXTA)
2015年末から、消費増税、軽減税率の問題に揺れている日本。こうした国・経済政策の動きは、「大局的に見て」正しい方向に進んでいるのでしょうか。多数のベストセラーを執筆し、別ペンネームで歴史関連書籍も発表している元国税調査官・大村大次郎氏(近刊に『お金の流れでわかる世界の歴史』『お金の流れで読む日本の歴史』がある)が今の流れに警鐘を鳴らします。

 

昨今、世界経済・日本経済は、先進各国の財政悪化、中国経済の減速、世界規模での格差社会化などで大きく揺れています。こうした状況をつぶさに見ていくと、実は、今の世の中は「フランス革命前夜」に似ていることがわかります。これからの世界経済を占うためにも、フランス革命にいたった経緯をふくめ、世界史に目を向けることが大切です。

フランスはご存じのように中世からのヨーロッパの大国で、ルイ14世の時代には強固な王政国家でもありました。ところが、1789年からのフランス革命によって劇的に王政が倒されます。これは実は、王室の財政破綻、つまりデフォルトが大きな要因となっているのです。

中世フランスの国家財政は「火の車」

「絶対王政」という言葉から連想すると、中世ヨーロッパの国王には、絶対的な権力があり、国中の財を独り占めしていたようなイメージがありますが、決してそうではありませんでした。

まず、中世のヨーロッパ諸国においては、「国全体が王の領土」というわけではありませんでした。貴族・諸候がそれぞれ領地を持ち、王はそれらの束ね役に過ぎなかったのです。国王の直轄領もありましたが、決して広いものではありません。治めている領地が狭いということは、そこからもたらされる税も少ないということです。貴族・諸候たちは税金を免除されていたので、国王の収入としては、さほど広くない直轄領からの税と、関税くらいしかなかったのです。

次ページフランス国民を苦しめていた「タイユ税」とは?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事