「ノー」と言えないリーダーは信用されない

大物不在の時代にあえて火中の栗を拾おう

どうすれば組織を引っ張れるリーダーになれるのか。独自のリーダー論を持つ辻野晃一郎氏が語ります
「リーダー受難の時代」といわれる。世の中がめまぐるしく変化していく中で、企業も政治も短期的な成果を常に求められ、長期的な視座が持ちにくく、少しでも失敗するとたたかれやすい。
そんな時代において、どうすれば周囲の信用を得て組織全体を引っ張っていくリーダーになれるのか。『リーダーになる勇気』(日本実業出版社)の著者で、ソニーのカンパニープレジデント、グーグル日本法人社長などの経験から独自のリーダー論を持つ辻野晃一郎氏が語ります。

 

甘利明元経済再生相の収賄疑惑を皮切りに、今年に入ってから続々と、安倍政権のほころびが出始めている。甘利氏は私も長らく勤めていたソニーに短期間在籍していたこともあるので、もともと親近感を持っていた。2004年1月、ムーディーズ・ジャパンがソニーの長期債務の格付けを投資適格級から投機的水準に引き下げたことを会見で問われ、OBとして「『メード・イン・ジャパン』(の元祖)として情けない」と苦言も呈している。

だが、第一次政権時からの安倍首相の懐刀で、“TPP交渉の立役者”とされる甘利氏でさえ、口利きの見返りに建設会社から裏金を受け取るという、古典的な不祥事で失脚した。民意を代表する政治家という立場である以上、常日頃こうしたスキャンダルの火種を撒かないよう、細心の注意を払うべきなのに、緊張感が足りないのか驕りがあったのだろう。“リーダーとしての自覚”を云々する以前の話だ。

リーダーはまめでないと務まらない?

確かに政治にはカネがかかる。また、かつては田中角栄氏など、集金力に優れた政治家が評価された時代があったのも事実だ。そもそも日本には、そうした頼れるお父さん、いわば親分を慕って子分が集まるというリーダー観があった。チームの結束力を、手下たちに小遣い、すなわち活動資金を与えることで維持する。そうしたリーダーシップの示し方があった。

田中角栄再評価の気運が高まっているようだが、否定的な立場の者でも陳情などで一回会えば、肯定側に回るというくらい、人の心を瞬時に捉える、カリスマ性を持った人物だったのは確かだ。どんなに多忙でも関わりのあった者の葬式には必ず行く、8000通もの年賀状の返事は必ず自分で書く、といったまめさも有権者の絶大な支持につながった。

政治家など人気商売だから、打算的な面もあろうが、およそリーダーはまめ。今ならさしずめ、Facebookの全フォロワーの「近況をアップデート」に“いいね”を付けまくるといったところだが、労力も意味合いもまるで重さが違う。

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