様変わり!「世界最速列車」国別ランキング 列車性能ではわからない「表定速度」で比較

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表定速度で世界最速は中国(写真:digifab/PIXTA)

北海道新幹線が3月26日に開業すると、東京—新函館北斗間862kmが最速4時間2分で結ばれる。これを表定速度に直すと時速213km。東京―新青森間の表定速度よりもさらに下がる。青函トンネルとその前後の区間は在来線並みの速度まで落とす必要があるためだ。

では、北陸新幹線はどうか。同路線を走る「E7系」は東京—金沢間450kmを最短2時間28分で結ぶ。これを表定速度に換算すると時速182km。ノンストップ区間の大宮—長野間192kmの表定速度も時速205kmにすぎない。北陸新幹線は最高速度が時速260kmに抑えられていることに加え、高崎—軽井沢間に急勾配区間が30km続いていることも理由としてあげられる。

では、世界の高速鉄道の表定速度はどうだろうか。世界を見渡してみると、イタリアの「フレッチェロッサ1000」のように最高時速400kmという列車もある。だが、この列車が走るローマ―ミラノ間の営業最高速度は時速300kmに制限されており、表定速度は時速206kmにすぎない。最高速度と表定速度の間に時速200kmもの開きがあるというのは宝の持ち腐れである。

英国の鉄道専門誌「Railway Gazette International」は、2015年7月号で各国の高速鉄道の表定速度を計算している。各国の最速の表定速度を抜き出し、それを各国間で比較してみたところ、次のような結果となった。

ノンストップで1000キロ走る列車も

1位は中国。同国でもっとも表定速度の速い区間は石家荘―鄭州間で、区間距離382kmを81分で走る。表定速度は時速283kmになる。

中国では北京―南京間1021kmというとんでもないノンストップ区間がある。これを3時間39分で走る列車もある。こちらは表定時速に換算すると時速280kmである。ちなみに2011年7月に温州市で発生した衝突脱線事故を契機に、同国の最高速度は時速350kmから時速300kmに引き下げられているが、最高速度と表定速度がここまで近いのには驚かされる。日本と比べカーブや勾配が少なく、減速する必要があまりないのが理由だろう。

2位はフランスだ。同国の最高速度は時速320kmである。表定速度のもっとも早い区間はロレーヌ―シャンパンニュ・アルデンヌ間で167kmを37分で走る。表定速度は時速271kmだ。フランスの高速鉄道TGVは在来線にも乗り入れるため、在来線区間では高速走行ができない。だが、ロレーヌ駅、シャンパーニュ・アルデンヌ駅ともにTGV専用の駅であり、同区間は高速鉄道のメリットをフルに発揮できる駅といえる。

3位に日本が登場する。東北新幹線・大宮—仙台間の時速263kmである。

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