「他人を気にしすぎる子」は、成績が伸びない できる子は「没頭力」が身についている

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まずは、受験を控える中3の生徒と私との間の会話をご覧ください。

山口君:「先生、このままの勉強を続けて、受験競争に勝てるでしょうか?」
私:「そうだね、今は6月だから、まだわからないが、今のまま進めていくといいだろう。ところで、山口君は、受験は競争だと思っているの?」
山口君:「はい、そう思います。一種の戦いといっていいのではないでしょうか」
私:「そうか。でもね、本当に伸びる生徒は競争という意識を持っていないんだよ」
山口君:「え!そうなんですか。でもそれは、もともと勉強ができるから競争しなくてもいいんということではないんですか?」
私:「世の中の多くの人がそう思っているようだけど、実は違うんだ。競争などという意識から解きはなたれているから、高くトップへ上りつめることができるようになるんだよ」

 

この会話の内容を聞いて、中には「いや受験とは競争であるから、トップを取ろうとがんばってきたし、そういう勉強は楽しかったのだ」という人もいることでしょう。もちろんそういう人もいるかもしれませんが、私がこれまで3000人以上指導してきた生徒を見ていると、成績がよかった生徒のみならず、成績がのびていった生徒は、勉強や受験を競争とは思っていないことが多かったのです。

できる子に、「雑音」は聞こえていない

「成績や学力は競争することによって伸びる」

という人は教育関係者、また保護者の方の中に少なくありません。確かにテストでは、点数がつけられ、成績表は数値で出され、入試は合格不合格が明確になります。少子化が進み「受ければ誰でも合格できる学校」も最近ではたくさん出てきましたが、それでもまだ、「倍率(競争倍率)」という言葉も健在で、勉強=競争、受験=競争という認識は根強いものがあります。

しかし、これは間違った認識であると考えざるを得ない場面を、これまで私はたくさん見てきました。これまで指導してきた生徒たちから本当に「できる子」の特徴として、周囲の雑音が気にならず、自分の世界に没頭している、 そうした面において「突き抜けている」という点があったのです。

端からみれば、何時間も熱心に勉強していて大変だろうと思えても、実は本人は集中して内容面に入り込んでいるため、周囲からみるほど大変ではないということがあります。また、本人にはこのとき、競争するとかしないとか、そういったことには意識がいっていないのです。

これが、勉強に深く集中できず、表面的字面を追うだけで、意味も深く理解できていなければ「つまらない」状態になるのは当然です。それでも“真面目な”な生徒は、表面的であっても勉強はするので、ある程度は点数がとれます。知識は有限ですから、表面的であっても量をこなせば、点数が取れるようになります。

しかし、「そこ」で終わってしまうのです。つまり、勉強は入試のため、テストで点数を取るためと割り切っているため、社会に出てから「学校の勉強なんて社会で役に立たない」「因数分解?そんなの社会では全く使わない。意味あるの、そんなことやって」という発言が飛び出したりします。そうした考え方だと、子ども時代の勉強は受験が終わった途端に無駄になり、実際すぐに忘れてしまうのです。こうした考え方は、大人になっても続いてしまうのが恐ろしいところです。

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