家を「断捨離」すれば子どもの学力は伸びる! 親子で「考える力」を養う訓練になる

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そもそもの話ですが、子供に断捨離を強要すること自体、ご法度です。「お母さん(お父さん)と一緒に断捨離してみない?」と提案するのは構いませんが、やるかやらないかの決断は、やはり子供に委ねます。こうした原則を踏まえることで、子供の主体性と自尊心、そして考える力が育まれていくのです。

まずは親がやってみる

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「やって見せ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」という、かの連合艦隊司令長官・山本五十六の名文句がありますが、断捨離は、少しそれとは異なります。

ただひたすら、親自身がやってみる。「子供にやらせる」のではなく、まず「親がやってみる」ことが大切なのです。親がやっていないことを子供にやれといっても、子供にしてみれば「お母さん(お父さん)だってやっていないじゃないか。断捨離をやれなんて言われたくないよ」と反発を食らうのが関の山です。

子供はいうことを聞かず、部屋は片付かないまま、親のイライラが募るばかり……そんな負のスパイラルに陥るのであれば、まず親が自らやってみるほうがずっと賢明で楽な選択のはず。とにかく、自分のことを棚に上げていては始まりません。受験を成功させるためには、子供の心が安定していることが大切です。そのためには、まず親の心が安定していなければなりません。

まずは親が自分のモノと向き合い「今の自分に必要か」「今の自分にふさわしいか」「今の自分に心地いいか」と思考・選択・決断を繰り返す。そうやって自分軸で「考え、思い、感じて、選んだ」好きなモノだけに囲まれていれば、思考や気持ちがおのずとスッキリします。すると自分が好きになって自尊心、つまり自分を大切にする気持ちが育まれるという好循環が生まれるのです。

親の心が安定している姿を、子供は敏感に察知します。そして、「ボク(ワタシ)もやってみようかな」と、断捨離に自然と引き寄せられるようになります。

断捨離の第一歩は、リビングに置きっ放しの1冊の雑誌や引き出しにある1本のボールペンからで結構。まとまった時間を必要とするわけでもなく、思いついたときにすぐできることでいいのです。そうした“些細な実行による小さな達成感”が一つひとつコツコツと積み重なっていけば、おのずと習慣になり、考える力を鍛えるトレーニングをつねに実践している状態になります。

こうして「考える力」の土台を育んでいけば、後は直前になって見えてくる具体的な試験対策をすればいいだけのこと。

「考える力」は「覚える力」と違って小手先のテクニックではなく、より幅広い力量が試されることと思います。断捨離を通じて今から「鍛えるか」「鍛えないか」で、数年先にきっと大きな差となって現れることでしょう。

やましたひでこ
やましたひでこ

東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。大学在学中に入門したヨガ道場で、心の執着を手放す行政哲学「断行・捨行・離行」に出合い、その後、片づけ術として応用し、「断捨離」を提唱。全国展開する「断捨離セミナー」は、年齢、性別、職業を問わず圧倒的な支持を得ている。『断捨離』(マガジンハウス)は、日本だけでなく台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』(いずれもマガジンハウス)の断捨離3部作はミリオンセラーに。長男は北海道大学卒。

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