物価は2016年後半から再びマイナス圏に

為替レート、原油価格から物価を推計する

黒田日銀総裁はマイナス金利政策を導入した。しかし、原油価格は動かせず、円安を維持するのも難しいのでは…?(撮影:大隅智洋)

日本銀行は1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を導入した。『展望レポート』では、消費者物価(CPI)の前年比が日銀が目標とする2%程度に達する時期を、2017年度前半頃と、再び半年後ろにずらしていた。しかし、筆者の分析では、2%の達成は現実的ではなさそうである。

筆者は「主成分分析」の手法を用い、日本のCPIに対する為替と輸入物価の包括的な影響度を抽出することを試みた。そしてCPIからこれらの外生要因の影響を除くことで、「物価の基調的な変動」を捉える「みずほ証券版CPIコアコア指数」を作成した。包括的に外生要因を取り除いてみると、「物価の基調」は依然として前年比マイナスであることがわかり、日本ではデフレ状態が継続していると結論付けた(詳細は「精緻に分析すれば、日本はまだデフレである」をご一読いただきたい)。

為替レート、原油価格と物価との関係

今回は、逆に、為替と輸入物価の外生要因に注目して、今後のCPIの推移を予想してみた。

「みずほ証券版CPIコアコア指数」の分析では、外生要因である輸入物価や為替レートがCPIに与える影響を調べるため、様々な品目で構成されるCPIの中分類(49分類)の寄与度に対して「主成分分析」を行う。

「主成分分析」を行った結果、第1主成分は「輸入物価(円建て)を反映するファクター」であることがわかった。「輸入物価(円建て)」と重ねてみれば、強く連動している。

第2主成分は、「ラグを持って波及する為替レートを反映するファクター」。9カ月遅れでドル円レート(前年同月比)との連動性がみられた。9ヵ月のラグがあることから、第1主成分では説明できない「時間をかけて円安(円高)が国内物価に波及する効果」が抽出されたと考えられる。

これら2つのファクターは消費者物価指数の全体のうち、それぞれ約35%、約21%を説明する。これらに大きく影響を与える原油価格や為替レートの将来パスを仮定することで、CPI総合の前年同月比を推計することができる。

ここで、仮にWTI原油価格が1バレル=35ドル、ドル円レートが120円で推移したと置いてみる。原油価格が35ドルという低水準で推移する場合、輸入物価(現地通貨建て物価要因)は2016年末までは輸入物価全体を押し下げる方向に作用しそうだ。

前年(2015年)の輸入物価の変化の影響で、2016年初めにいったんは前年同月比のマイナス寄与が小さくなるが、その後は再びマイナス寄与が大きくなろう。

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