SMAPの騒動は、なぜここまで大きくなったか 「大きな存在だった」と認識させた3つの理由

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たとえば、アイス界の大物である『ガリガリ君』『ピノ』『ジャイアントコーン』の間に、別の商品を混ぜたら、客は「似たような価値がある」と感じ、そのうち「まぎれもなく大物」と認識するようになります。アイスに限らずどんな商品でも、SMAPのようにもともと一定の魅力を持つものなら、大物と同伴させることが大ヒットへの近道なのです。

視線はアラフィフで迎える2020年へ

この十数年間、アラサーからアラフォーを迎える過渡期のアイドルとして、限界に挑戦し続けてきたSMAP。アラフィフが間近に迫る中、今後はどのような活動をしていくのでしょうか。

25年に渡って第一線で活躍してきただけに、現行グループのままこれ以上の展開を望むのは、もはや酷な状態。何しろ、ほとんどのことをやり尽くしてしまったため、「もう挑戦するものがほとんど見当たらない」SMAPにとって「解散反対!」の声は、成長や挑戦ではなく、「現状維持」を求めていることになってしまいます。

これは少し見方を変えると、「今回の騒動を機にリスタートすることが難しい」ということ。すごろくで言えば、SMAPは限りなく「あがり」に近い状態であり、だからこそ「環境を変えてみたい」という思いがあったのもしれません。

しかし、すでに取りかかりはじめている2020年の『パラリンピック』応援は、彼らをさらなる次のステージに導く可能性を秘めています。そのとき彼らはアラフィフ真っただ中ですが、「身を引いて若手のサポート役に回るのではなく、今以上の生き生きとした姿を見せてほしい」という人は多いのではないでしょうか。

騒動は完全に鎮静化したとは言えず、現場はいまだ混乱していると聞きます。しかし、私がお会いしたSMAPのメンバーは、「誰よりもファンを大切にしたい」という考え方の持ち主でした。また、それぞれが「SMAPであることを強烈に自負している」だけに、今後も大物ながら身近な存在として、私たちを楽しませてくれる気がしています。

 

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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