USENがたった5億円で映像配信事業を売却、本業回帰の苦しい内実

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USENがたった5億円で映像配信事業を売却、本業回帰の苦しい内実

4月7日、ともに六本木ミッドタウンに本社を置くヤフーの井上雅博社長と、USENの宇野康秀社長が会見を行った。

ヤフーは4月末にUSEN子会社のGyaOへ51%出資し、今秋メドにPCでの映像(動画)配信サービスである「Yahoo!動画」(利用者数約1100万人)と「GyaO(ギャオ)」(同約650万人)を統合する。「著作権者を尊重する日本最大級のオフィシャル映像配信プラットフォームを目指す」と言い、違法投稿が問題となっているグーグル「ユーチューブ」への対抗意識をあらわにした。

昨年10月に、USENからの打診がきっかけで成立した今回の統合。ギャオの直近(2008年8月期)業績は売上高54億円、営業赤字27億円。ヤフーの井上社長は「うちも動画は儲かっているとはいえない。配信システムを一つにするなど早い時期に統合効果を出す」と語る。

注目すべきは、たった5億円強という取得価格。ネット業界トップのヤフーにとって買収の影響は限定的だが、USENは違う。社運を懸けて投資してきたギャオをたった5億円で手放す。そうした結末に、USENの苦境が浮き彫りになっている。

映像関連は軒並み撤退

05年4月にスタートした無料ブロードバンド放送ギャオは「時代の流れを作ったと自負している」(USENの宇野社長)。通信と放送の融合モデルとして注目された事業だ。しかしユーチューブやニコニコ動画などライバルの成長に加え、コンテンツとしての魅力も不足した。利用者数や広告収入が伸び悩む一方、コンテンツ制作・調達費、配信システムなどの負担が重く、営業赤字が続いていた。

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