原文はこちら
インドでモディ政権が発足し、過去を根本的に断ち切った新たな国づくりを行うと約束してから、1年半あまりが過ぎた。モディ政権の経済・外交政策を評価するには時期尚早だが、明確な進展を見せた分野がひとつある。それは、インドの強固なエリートたちを屈服させることだ。
人口12億人のインドは長い間、総勢4000〜5000人とみられるごく少数のエリート一族によって支配されてきた。過大な影響力を持つ強力なエリートを抱える国は多いが、インドではこうした、王朝ともいうべきエリート層が公的分野のすべてをコントロールしている。政治、経済、メディア、さらには映画産業すら、そうなのだ。
こうした王朝の多くは、インドが植民地だった時代に遡る支配のルーツを持ち、婚姻などを通じてニューデリー中心部やムンバイなどで明確な階級を形成してきた。富裕層向けの英語学校やゴアの別荘のほか、ロンドンやスイスで過ごす夏は、彼らに共通した世界観を与えている。時折、新顔が受け入れられるが、それはシステムの永続化を妨げない場合に限る。
正当な権利と「世襲特権」は別
当然ながら、彼らは非常に強い特権意識を持つ。少しでも権威が傷つけられそうになると「私が誰だか知らないのかね?」などのセリフを口にする。
こうした古臭いエスタブリッシュメントに対してモディ首相は、象徴的な一撃を加えた。中央デリーに数百ある政府のバンガロー (公邸) から、社会的地位が高い大多数の不法占拠者を立ち退かせるのに成功したのだ。
居住権が無いのに、何世代にもわたってそこに住んでいた例もあった。立ち退くよう通告された際、バンガローは事実上自分たちの有名な先祖の記念碑なのだから、居座りが容認されるべきだと主張した家族もいた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら