高齢時の認知力は20歳時の文章から分かる?! アルツハイマー病の過去・現在・未来

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記憶は砂が手の中から落ちるようにして消えていく(写真:monogocoro* / PIXTA)

いまや、アルツハイマー病という疾患名はあまねく知られている。しかし、何がアルツハイマー病の原因なのか、どんな人がなりやすいのか、そして治療は可能なのか、となると、ほとんどの人は知らないだろう。

恥ずかしながら、医学部で病理学を教えている私もよく知らなかった。研究が日進月歩であり、その原因や治療法についてはまだ確定的なことがわかっていないからだ、と、とりあえずの言い訳から始めたい。

認知症の6割を占めるアルツハイマー病

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アルツハイマー病は、いうまでもなく、認知機能の低下と人格の変化を伴う認知症の一種である。認知症の6割をも占めるとされる疾患であるが、ドイツ人医師アロイス・アルツハイマーがチュービンゲンで1906年に、最初の症例アウグステ・Dを報告してから何十年もの間、全く興味をひかなかった。

それには2つの理由がある。ひとつは、アウグステ・Dが46歳での発症、初診時51歳であったことから、若年性の特殊なタイプの認知症であり、よくある老年性の認知症とは違うと考えられたこと。もうひとつは、老年性の認知症は脳血管の動脈硬化が原因であると考えられていたことである。

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