有料会員登録
ライフ #自動車最前線

モリゾウに喧嘩を売ってでも中嶋副社長がこだわったエンジニアリング主導のチーム、TOYOTA RACINGでレースに挑む真意

9分で読める
富士スピードウェイで優勝を果たしたTOYOTA RACING8号車「TR010 HYBRID」(写真:TOYOTA RACING)
2/4 PAGES
3/4 PAGES
富士6時間耐久レースの走行シーン(写真:TOYOTA RACING)

「やはりGR(GAZOO Racing)でモリゾウ(豊田章男トヨタ自動車会長)が出てきたことで『モリゾウを笑顔にするためにクルマを作るんだ』という連中も沢山いるのは事実です。一方でエンジニアというのは自分が正しいと思った技術をとことん追求したいという人種で、結果としてその商品でモリゾウが笑ってくれたら嬉しいわけなんですが、その順番が、どっちが先なんだという話になっていて。社内のメンタリティとしてトヨタみたいな大きな会社は、全体が右に行くと自分も右に行っておいたほうが安心だとなりがちで、そうするとモリゾウの言葉だけを単純に拾ってきて、心から思っていなくても使ってしまうということが起こりがちなんです。実際、そういう資料を沢山見まして……。大企業病のよくあるパターンだと思います」

TOYOTA RACINGとしてのWEC参戦が発表された1月のTOKYO AUTO SALON 2026でも、中嶋副社長は同様の話をしていた。社内の全員が豊田会長のほうを向いて仕事をしているわけではなく、もっと自分の仕事を突き詰めたいと考えている人間がいるんだと、あえて中嶋副社長が豊田会長に喧嘩を売るという形で、エンジニアリング主導のチームであるTOYOTA RACINGとしてWECに臨むと宣言していたのである。

エンジニア出身だからこそ、貫きたかった信念

ホームである富士スピードウェイに駆けつけた、TOYOTA RACINGのファンたち(写真:TOYOTA RACING)

その背景として、エンジニア出身である中嶋副社長の現在の社内のムードに対する懸念は無視できない。今は良くても、このままでは将来は安泰ではないという強烈な危機感だ。

「エンジニアは自分の信じたものを追求して結果がついてくればいいし、ついてこなければ『残念だった、また頑張ろう』というものだと思うんです。今、僕が恐れているのは、そうした気概を持った先輩たちがいっぱい居たにもかかわらず、我々の時代になって、これはTNGAの功罪だと思っているんですが………非常に良いプラットフォームができて、素性が良くて色々なクルマに転用できたというのが大きな価値だったわけですが、それにしか携わっていないエンジニアは、ある意味コピー&ペーストで仕事ができちゃうという状況になってしまった。ゼロからプラットフォームを作ってものすごい苦しい経験をする人数も減ってきた。こういう背景があって、私自身がモリゾウに喧嘩を売ることで、エンジニアは自分の信じたことをしっかり追求すればよくて、そのためには上下なんてなく、言いたいことがあれば言えばいいという形を作りたかった。中嶋がモリゾウに言っているんだから、君たちは中嶋に言ってくれという」

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数