対してTOYOTA RACINGは「パワートレインや技術に特化したモータースポーツ活動」を標榜する。先行開発技術を通じたモータースポーツ活動により、長期的な技術開発を推進するのが、その役割。キーワードは「For the Engineering Race」、つまりエンジニアリング主導で戦うという体制である。組織の中心となるのはトヨタ自動車のパワートレーンカンパニーであり、CTO(最高技術責任者)である中嶋裕樹副社長が会長を務める。
そもそも2012年のWEC参戦はパワートレインを手掛けるトヨタの東富士研究所が主導したもので、ここで開発されたハイブリッドシステムの投入が可能な車両規則があったからこそ、彼らはWEC参戦を決めた。今と違って当時のF1にはハイブリッドの入り込む余地はなかったのだ。その後、トヨタ全体のモータースポーツ活動をTOYOTA GAZOO Racingにまとめるという方針からそこに合流していたわけだが、今回改めて別の目的を持った活動体制に変更されていたのである。
中嶋裕樹副社長が語る、TOYOTA RACINGとしての活動
「チームが今年からTOYOTA RACINGになって何が一番変わったかと言えば、現場の雰囲気です。『For the Engineering Race』を掲げて、エンジニアが主体となってやっていく。可夢偉(小林可夢偉WECチーム代表)も言ってくれていますけど、ドライバーが走りやすいという前に、エンジニアが何をしたいのか、それを実現するためにどういう話をすればいいのかという風にコミュニケーションが変わってきた。チーム内の雰囲気が大きく変わってきています。全体のモチベーションが大きく高まりましたね。ドライバー、エンジニア、メカニックが一致団結して、皆が勝つためにここにいるんだという思いで一体になっている。これは、とても大きなポイントだと思います」
富士スピードウェイのパドックで、中嶋副社長はこのように話した。とは言え、勝つという目標は、これまでも同様だったはずである。エンジニアリング主導のレースとは、実際のところ従来と組織なのか、指揮系統なのか、一体何が違っているのだろうか。例えば、これまではエンジニアたちに不満があったのか……?


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