水温は一般的なプールよりやや高めだが、長時間運動しやすい適度な温度に保たれている。
30年間通い続けている79歳の男性患者は、50歳頃から腰痛に悩まされ、仕事へ行くのもつらい状態だったが、「担当の先生から『できるだけ手術をしないですむようにしましょう』と言われ、リハビリやプールでの水中ウォーキングを続けてきました。おかげで、今のところ手術をせずにすんでいます」と言う。
前歩き、横歩き、うしろ歩きなど、さまざまな歩行方法による水中ウォーキングを週に2回、30分ずつ行っている。
「水の抵抗を適度に利用することで、安全に、陸上では使いにくい筋肉や腱にも刺激を与えることができます」と岡田医師。男性患者は「陸上だと膝が痛くても、水の中なら歩けるんです。痛みも半分くらいになります」と、温泉プールの効果を熱心に語ってくれた。
長年通う常連たちは、思い思いに水中ウォーキングをしたあと、帰りがけに再度、診察を受けるために診察室に立ち寄る。医師と患者の距離が家族や親戚のように近いのは、上牧温泉病院の魅力の1つだろう。
創業者は田中角栄の「刎頸の友」
上牧温泉病院が開業したのは1981年。
創業者は、若き日の田中角栄氏とともに地元の中堅ゼネコンで働き、「刎頚(ふんけい)の友」とも称された入内島金一(いりうちじま・きんいち)氏である。
金一氏の長男、一崇(かずたか)氏(81)が若かりし日にドイツの温泉保養地バーデン・バーデンを視察。「旅館だけでは足りない。温泉保養地には温泉病院が必要だ」と考え、親子2代にわたって協力しながら、医療・温泉・福祉・リゾートを融合させた温泉保養地づくりを行ったという。


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