そしてもう一つ、有楽製菓がこだわったのが、1本80円(税抜き)という価格だ。
カカオをはじめ原材料価格が高騰する中でも、同社が掲げるのは「価格以上の価値」。そのために力を入れてきたのが、生産性の向上だった。
「『ブラックサンダー』も、あの価格(税抜き40円)で利益が出るよう、生産ラインを高速化し、オートメーションも進めています。生産性を高めることで、原料にしっかりコストをかけても、手頃な価格で提供できるんです」(杉田氏)
新工場も、同じ生産量に対して配置する人員を従来のおよそ半分にできるよう設計。単純に原料費などを削るのではなく、設備に投資。生産効率を高めることで、「安くておいしい」を支えている。
「ミルクマニア」は一息つきたい時の"ちょっとした贅沢"
では「ミルクマニア」は今後、「ブラックサンダー」を追い、いつか超える存在になるのだろうか。同社の答えは少し違った。
「ブランド同士の勝ち負けではないんです。『ブラックサンダー』では自分向けではないと思う方にも、『ミルクマニア』なら喜んでもらえる。いろんなブランドを持つことで、より多くの方にお菓子を届けたいという感覚です」(杉田氏)
筆者が「ブラックサンダーの"親友"を作っているようなものですか」と尋ねると、杉田氏は「そうですね」と笑った。「『俺はこっちをやっておくから、君はこっちをやって』みたいな」
実際、「ブラックサンダー」が仕事の合間などに食べるイメージなのに対し、「ミルクマニア」は一息つきたい時の"ちょっとした贅沢"を想定しているという。それぞれ違う役割を担いながら、同じ会社を支える。
発売から約30年を経て巨大ブランドとなった「ブラックサンダー」と、発売約7カ月で1000万本を突破した「ミルクマニア」。「ブラックサンダーが強すぎる」──その長年の悩みに、ようやく一つの答えが見え始めた。
30年越しに現れた"親友"が、はたして本当に第2の柱へと育っていくのか見届けたい。


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