話はまだここで終わらない。事情を聞いた小川直美(演:上坂樹里)は「仕事は、りんがいなきゃ、いないなりのやり方を考える。それとこれとは別でしょ」と言いながら、シマケンのもとへと行くように促す。
直美の後押しを受けて、一度は駆け出したりんだったが、シマケンの家に向かう道中で、具合の悪くなった女性と遭遇。彼女の看護を優先したため、シマケンの家にたどり着いたとき、すでに彼の姿はなかった。
つまり、りんはシマケンとともに浜松に向かうにしろ、逆にシマケンの帰郷を思いとどまらせるにせよ、最後に話すチャンスをふいにしてまで、目の前の患者を助けることを当然のように優先した。
自身の咄嗟の行動に、りんは改めて自分の気持ちに気づく。心配する直美に「いい、もういい」と言い、「どうして?」と問われると、こう答えている。
「わかったから、自分が。この手は患者さんに使いたいんだって」
ナイチンゲールも求婚されて葛藤
仕事と恋愛という狭間で、看護婦として生きる道をより大切にした、りん。あのナイチンゲールもまた同じように、恋をとるか、仕事をとるかで葛藤した時期があった。
イギリスの富豪のもとに生まれたナイチンゲールは、別荘の近くに住んでいた貧しい病人の世話をしているうちに「看護婦になりたい」という夢を持つ。
だが、両親がナイチンゲールに望むのは「いかに家柄のよい男性と結婚するか」ということだけ。看護婦として働くなどはもってのほかであり、娘の願いを聞くなり「看護婦という恥ずべき仕事を口にするな」と一蹴している。
なにしろ、当時の看護婦は職業のイメージも悪く、「それは台所働きのメイドになると言い出したようなものであった」とナイチンゲール自身も振り返っている。
それでもナイチンゲールは諦めることなく、身近に病人が出れば、積極的に看護にあたった。看護への思いは募るばかりで、両親に隠れて病院を見学するなど、次第に夢を実現させるための行動を起こし始める。


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