有料会員登録 東洋経済オンラインとは
キャリア・教育

「推薦入試が増えているから日本人の学力は落ちる」は本当? 東大の試験まで変えつつある「頭のよさ」の新しい背景

9分で読める
タブレットで勉強する高校生
これからの社会で必要とされる「頭のよさ」とは?(写真:zak/PIXTA)
  • 西岡 壱誠 一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事・ドラゴン桜2編集担当
2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES

そう考えると、推薦入試で要求されていることも、一般入試とそれほど遠くないことに気づきます。

推薦入試では、「なぜこの大学なのか」 「大学で何を研究したいのか」 「そのために高校時代に何をしてきたのか」ということを考えます。

当然、その大学について調べなければなりません。「自分はこういうことに興味がある。この大学にはこういう先生がいる。この学部ならこういう研究ができる。だから高校時代にはまず、こんな活動をしてみよう」と、逆算して行動する必要がある。

これは、一般入試で「この大学では英作文が出る。今の自分には英作文の力が足りない。だから夏までにこの参考書を終わらせよう」と考えることと、構造としてはかなり似ています。

どちらも、ゴールを調べ、現在地を知り、必要な行動を逆算して実行するのです。

推薦入試だけが、よくわからない「人間力」を見ているわけではありません。一般入試が主に「学習計画」という形で戦略性を見るのに対して、推薦入試は興味関心・活動・進路選択を含めた、もう少し広い範囲で戦略性を見ている。この2つにそんなに違いはないのではないでしょうか。

この話をすると、必ず出てくるのが生成AIです。「推薦入試なんて、志望理由書をChatGPTに書かせたら終わりじゃないか」と。もちろん、大学ごとに定められた生成AIの利用ルールを守ることは大前提です。本人が考えてもいない志望理由をAIに作らせ、それを自分の考えであるかのように提出するのは論外です。

生成AIを使ったら「本人の実力」ではないのか

しかし僕は、「AIを使った時点で本人の能力ではない」という考え方にも、違和感があります。なぜなら普通に勉強する際にも、つまり一般入試の努力だって、すでに一人だけで勉強しているわけではないからです。

学校の先生に聞く。塾に行く。参考書を使う。模試の分析を見る。YouTubeで授業を見る。生成AIにわからない問題を質問する。これらは全部、「外部の力」を使っています。

重要なのは、何も使わずに一人で完成させられるかではなく、使えるものを適切に使って、最終的に自分の力にできるかではないでしょうか。

AIに全部答えを作らせる人と、AIとの対話によって自分の考えを深める人は、同じ「AIを使った人」でもまったく違います。先生に全部やってもらう人と、先生からヒントをもらって理解を深める人が違うのと同じです。

一般入試も推薦入試も、努力の過程で生成AIを使うことを否定してはいません。自分ひとりで努力を完結させることを求めているわけではないのです。

5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数