実際、推薦入試には課題もあります。高校によって活動機会に差があったり、家庭の経済力によって海外経験や課外活動の選択肢に差が生まれる可能性があったり、評価基準が不透明だったり、さまざまです。
しかし、そのうえで僕は最近、少し違う見方をするようになりました。推薦入試が増えているのは、「学力なんて必要ない」という話ではない。むしろ時代の変化によって、「頭がいい人」の定義そのものが変わってきたのではないか、と。
これは一般入試を見てもわかります。いまの大学受験は、昔と比べて「戦略性の勝負」になってきました。とにかくやることが多いのです。
共通テストでは国語・数学・英語・理科・地歴公民に加えて「情報」まであります。英語一つを取っても、「英単語と英文法を覚えて長文を読めれば終わり」ではありません。リスニングもあれば英作文もあり、大学によって出題形式も要求される能力もまったく違います。
実は「一般入試」も昔とはまったく違う
昔以上に、「何を、いつまでに、どこまでやるか」を考えなければならない。つまり、がむしゃらに勉強するだけでは足りないのです。
「夏までに数学をこのレベルまで上げる」 「この大学は英作文の配点が高いから、秋から対策を厚くする」 「模試を見ると英語より数学の伸びしろが大きいので、今月は数学に時間を振る」といった戦略が必要です。
一方で、戦略を立てるための材料は昔より圧倒的に増えました。
ネットで検索すれば大学ごとの出題傾向がわかる。参考書の情報も大量にある。模試を受ければ弱点を細かく分析できる。生成AIに「この大学を目指す場合、残り6カ月でどういう勉強計画を立てるべきか」と相談することさえできます。
要するに、現代の受験生に必要なのは単純な「努力量」だけではありません。膨大な情報やツールを使いながら、自分の現在地を把握し、正しい方向に努力する力なのです。
これは仕事も同じだと思います。会社に入って、「とにかく朝から晩までがむしゃらに働きました」というだけでは評価されません。
売上が上がっていないなら、どのKPIに問題があるのかを見る。目標から逆算してスケジュールを組む。途中の数字が悪ければ計画を修正する。自分より詳しい人がいるなら相談する。使えるツールがあるなら使う。
社会で求められる「頑張る」は、すでに「一人でひたすら頑張る」とは違うのです。


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