有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

奈緒も「先生の白い嘘」で希望 橋本愛が"身体接触シーンの専門家"を求めた必然と、制作現場の古い美徳が迎えた限界

6分で読める
夫婦別姓刑事 佐藤二朗 橋本愛
(画像:『夫婦別姓刑事』火9【公式】フジテレビ @fufu_deka_cxより)
2/4 PAGES

フジテレビ側は、車内撮影で男性俳優が女性俳優の顔に触れた場面そのものをセクシャルハラスメントとは評価していない。女性俳優側も、その接触自体をセクハラとは受け止めていなかった。

むしろ問題が深刻化したのは、その後の対応である。男性俳優が女性俳優の楽屋を訪れて、身体接触に制約があるなら事前に言うべきだ、夫婦役を受けるべきではない、俳優を続けるべきではない、といった趣旨の発言をした。これは単なる「俳優としての助言」ではない。相手の過去の経験や身体的境界にかかわる問題を、俳優としての資格や覚悟の問題にすり替えてしまった点に問題があった。

今回の事件は、2024年公開の映画『先生の白い嘘』をめぐる騒動にも通じるものがある。同作では、主演の奈緒がインティマシーコーディネーターの導入を希望したにもかかわらず、監督側が第三者を入れず、直接コミュニケーションで進める方法を選んだことが問題視された。制作側は女性スタッフを配置するなどの配慮をしていたことを説明したが、批判を受けて認識の誤りを認めて謝罪した。

『先生の白い嘘』では俳優同士の身体接触のシーンがあった(画像:映画『先生の白い噓』公式インスタグラム映像の一場面)

従来の現場感覚が、現代では通用しない

ここで問われたのも、監督や制作陣に悪意があったかどうかではない。「話し合えばわかる」「信頼関係があれば大丈夫」という従来型の現場感覚そのものが、現代ではもはや通用しなくなっているということだった。

インティマシーコーディネーターとは、ヌード、キス、性的接触、ベッドシーンなど、俳優の身体や性的な表現にかかわる場面で、俳優の安全と演出意図の両方を調整する専門職である。脚本を読み、どこにそのようなシーンが含まれるかを確認し、俳優の同意範囲を整理し、撮影時の動きや露出、接触の程度について相談する。インティマシーコーディネーターは俳優を身体的・精神的に守りながら、監督の意図が最大限発揮できるように支えるのが仕事である。日本では2020年頃から導入が始まり、徐々に認知が広がっている。

3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数