人口減少というと、出生数や死亡数に目が向きがちだ。しかし、自治体ごとの人口動態を見るうえでは、住民がどこからどこへ移っているのかという移動の実態も重要になる。今回は、総務省の「住民基本台帳人口移動報告」と「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」をもとに、2025年中に日本人住民の転出超過数が多かった自治体をランキングした。
転出超過数とは、他市区町村への転出者数から、他市区町村からの転入者数を差し引いたものだ。転出者が転入者を上回れば「転出超過」、転入者が転出者を上回れば「転入超過」となる。今回のランキングは、国内の市区町村間移動を対象としており、国外からの転入、国外への転出、出生・死亡による人口増減は含んでいない。
トップは長崎県佐世保市
日本人住民の転出超過数が最も多かったのは、長崎県佐世保市だった。2025年中の日本人住民の転出超過数は1813人、転出超過率は0.79%だった。2位は広島県広島市で1629人、3位は同じ広島県の呉市で1485人。4位には埼玉県川口市が1357人で入り、5位は長崎県長崎市の1327人だった。
上位には、地方の中核市や、港湾・工業都市として発展してきた自治体が目立つ。地域の中心都市であっても、日本人住民の移動だけを見ると転出超過が大きい自治体は少なくない。
一方で、人数ベースのランキングは人口規模の影響を受けやすい。たとえば2位の広島市は日本人住民の転出超過数が1629人と大きいが、日本人住民人口は115万人を超えるため、転出超過率は0.14%にとどまる。25位の京都市も862人の転出超過だが、率は0.07%だった。
これに対し、人口規模が小さい自治体では、転出超過数が上位でなくても率は大きく出る。17位の石川県輪島市は946人の転出超過で、転出超過率は4.54%。37位の石川県珠洲市は719人の転出超過で、率は6.36%に達した。能登半島地震の影響を受けた地域では、住民票を移した人の動きが数字に表れている可能性がある。
人口移動の数字は、自治体の住みやすさや魅力を単純に示すものではない。大学進学や就職、転勤だけでなく、産業構造の変化や災害など、さまざまな要因が重なって表れる。それでも、どの自治体で転出が転入を上回っているのかを確認することは、地域の人口構造の変化を考えるうえで欠かせない手がかりになる。

