一般に、人は自分がうすうすわかっている欠点を指摘されたときこそ、最も強く怒りを感じるものだ。ブラジル人にとって「昔は強かった」というのは、自分たちでも痛いほどわかっていることだからこそ、それを他国の人に指摘されるのはどうしても許せなかったのだろう。
ただ、塩貝のような世代の日本人選手が、ブラジルに対して「昔は強かった」と語ること自体は無理もない。なぜなら、彼は05年生まれであり、ブラジルがW杯で最後に優勝した02年には生まれてもいない。スター揃いで無類の強さを誇っていたブラジル代表の活躍を、彼はリアルタイムでは見ていない世代なのだ。塩貝が「昔は強かった」と言ったのは、侮辱するような意図は一切なく、自分の素朴な印象を述べただけなのだろう。
この騒動に関して、日本国内でも塩貝を責めるような意見もある。たとえば、元日本代表の本田圭佑は、塩貝の発言に関して、日本代表がブラジルに勝つ確率を上げるかどうかという観点からは「良い方向には転ばなさそうな気がします」とやや否定的なコメントを述べた。
挑発したことでブラジルが本気になった?
日本代表にとっては、ブラジル側が油断してくれるほうが好都合なのに、挑発的な発言をすることで彼らが本気になってしまう可能性があるからだという。ただ、本田は塩貝を強く非難しているわけではなく、あくまでも中立的な立場から意見を述べている。
個人的には、この件で塩貝を責める気にはならない。なぜなら、結局のところ、この発言が勝負に与える影響はそこまで大きいものではないし、その是非は結果論でしか判断されないからだ。

