視点を移すと、今回のトラブルの背景には、フジテレビが極度にリスク回避志向になっていることの影響も大きそうだ。
タレントの中居正広さんと同局の女性アナウンサー(当時)の間に起きたトラブルをきっかけに、フジテレビのガバナンス不全が露呈し、スポンサーの相次ぐCM撤退が起き、同局は危機に陥った。
25年10月には、バラエティー番組「酒のツマミになる話」で、お笑いコンビ千鳥の大悟さんが、松本人志さんの仮装を行い、それを問題視したフジテレビ側が急遽放送内容を差し替える事態となった。このトラブルを受けて、千鳥の2人は番組から降板し、番組自体も年内で終了となった。
会社としてのリスク回避志向のしわ寄せが番組制作現場におよび、最終的に出演者にもおよんでしまっている――というのが、今回の事案とも共通した背景としてあるだろう。
「誰も幸せにならない炎上」を防ぐために
フジテレビに限らず、テレビ局のコンプライアンス遵守は必然的な時代の潮流だが、それによって現場の疲弊が起きてしまっている。これを回避するためには、テレビ局側の方針を、現場にまで十分に浸透させる必要がある。
情報の受け手側の意識を変えることも重要だ。本件は多くの人が関わり、それぞれ異なる認識を持っている状況である。一方で、現時点で外部から確認できるのは、各当事者や関係者の公表内容だけである。
断片的な情報、あるいはそれによる推測や臆測によって、断定的な評価を下すことには慎重であるべきだし、誹謗中傷を行うことはあってはならない。
いまや、視聴者も含めて、すべての人や組織が「メディア」となっている。発信する情報には責任が生じることを、万人が自覚すべきだろう。

