「共同親権という制度そのものより、それを支える仕組みの充実のほうが重要」という林さんの指摘は注目すべきもので、各裁判所に「家事サービスセンター(家事服務中心)」が設置されていることにも驚きました(日本の場合、自治体による無料支援がある地域もあるが、自治体格差がかなり大きい)。
ただ、高弁護士によると、日本と同じように、台湾の裁判所も人手不足の問題は抱えており、調停が数カ月に一回しかできないこともあるのだとか。
共同親権下での課題の対応
近年、日本では家裁を補完する手段として、第三者機関のADR(裁判以外の紛争解決手段)が注目を集め出しています。ADRについても高弁護士に聞いてみると、台湾においては、法的効力の強さから、民間ADRよりも裁判所が利用されるケースが多いそうです。また、民間サービスを利用する場合でも、家事サービスセンターと連携して活用されることが多いといいます。
さらに林さんは、「未成年子女に対する権利義務」の共同行使における、課題の対応についても教えてくれました。そのなかから、父母側から見て参考になりそうな内容を以下にまとめます。
重要事項の一部を同居親が単独決定できるようにする事前合意は、日本での「親権行使者の指定」「監護の分掌」に近いものだと思われます。共同親権になりそうだけど紛争が心配、という場合は、事前に、その家庭にとって何が重要事項か明確化する、単独でも決められる分野を合意しておく、というのはひとつの手段ではないでしょうか。
林さんは、家事事件のサポートについては、台湾は現在も発展・改善の途中だと言います。1996年に「未成年子女に対する権利義務」の離婚後共同行使制度がスタートして約30年。同じアジアである台湾の実践は、日本が安全に共同親権を運用していくうえで、参考になる部分が多いと筆者は感じたのです。

