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ライフ #神童だったあの子の今

「分刻みで生活を管理」母と正式に絶縁した東大女子…"壊れることができなかった"過去と逃げ出した夜のこと

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少女
(写真:Graphs / PIXTA)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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その後のAさんは、休学して家庭教師のシフトを詰め、自分で学費を稼ぎながら大学に戻った。住民票の閲覧制限を取り、独立生計者として学費免除も勝ち取った。母とは公正証書を交わして絶縁している。

「今は幸せです。何しても幸せ。時間もお金も、人とのかかわりも、就職先も、すべての決定権が自分にあることが、うれしい」

彼女の物語を、教育虐待の被害譚として読むこともできる。逃げ切ったサバイバーの成功譚として読むこともできる。だが、取材を終えたあとに自分がいちばん深く残ったのは、そのどちらでもない。
壊れなかったことが、彼女の最大の苦しさだった、という事実である。

“壊れなかったこと”が彼女を苦しめた

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5時15分起床の設計図の下で、彼女は成績を出し続けた。反省ノートに毎日改善点を書き、記述問題の模範解答を写経し、土下座で試験を受けさせてもらった。全部、耐えられてしまった。ついていけてしまった。そのたびに、母の期待値と監視の密度は上がっていった。壊れないという才能が、逃げ場を消し続けた。

彼女がもう少し勉強ができず、母からもそこまで期待のされない子どもだったら、分刻みのスケジュールで管理されることもなかったのかもしれない。もし彼女が、もう少し親に従順な子どもではなかったのなら、もっと早く家出するなり逃げ出すなりしていたのかもしれない。

彼女は、頭が良く生まれてしまった。それゆえに、母の完璧な設計図に、体だけでなく頭でも耐えることができた。それゆえに、逃げ出すまでに18年かかった。

神童と呼ばれた子の行き先は、必ずしも学歴や称号のかたちを取らない。ときにそれは、22歳の朝、自分の部屋のカーテンを自分で開けて、「今日、何時に起きて何を食べるか」を自分で決められる、そのささやかな自由のかたちを取る。

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