「あなたの自宅に対する『捜索差押許可状(令状)』が出ています。何か心当たりはないですか?」――。
ある朝、自宅に警察が突然やってきて、玄関先でこう切り出される。身に覚えのない人にとって、これほど不可解で恐ろしい瞬間はないだろう。
自宅が攻撃の「中継地点」になっていた…
これに近い出来事が、実際に国内で起きている。2022年の秋、警視庁の捜査員が都内に住む30代の男性会社員のもとを訪れた。都内のある大手企業が不正アクセスを受けた疑いがあり、不正な通信の出どころをたどっていくと、この男性の自宅にたどり着いたのだという。
男性はまったく身に覚えがなかった。その企業との接点もない。それでも調べてみると、自宅でネットに接続するために使っていた機器が、知らないうちに外部から操作できる状態に改変されていた。攻撃者はこの家庭の機器を乗っ取り、企業への攻撃の「中継地点」にしていたとみられる。
被害者であるはずの住人が、知らぬ間に加害の側に立たされていたことになる。こうした捜査では、パソコンやルーター、スマートフォンがその場で押収されることもある。自宅のネット環境は使えなくなり、仕事にも日常生活にも支障が出かねない。

