地図を見ると、この事実がよくわかる。中村・豊玉あたりでは直線的な道路が交差しているのに対し、小竹向原では曲がりくねっている。街を歩いていても変則的に曲がった道が多いことを実感する。
長らく鉄道空白地帯だったところに1983(昭和58)年6月、待望の鉄道が開通した。営団地下鉄(現・東京メトロ)有楽町線が開通し、小竹向原駅が開業したのだ。
1994(平成6)年12月に西武有楽町線の小竹向原駅―練馬駅間、2008(平成20)年には東京メトロ副都心線が開通し、利便性が格段に向上した。
副都心線の開通を受け、小竹向原駅では2009(平成21)年の中古マンションの価格が上昇したと報じられている。「都内では、(中略)小竹向原駅(東京・練馬)が1.4%上昇したのが目立つ。小竹向原駅は2008年に開通した副都心線で新宿三丁目まで10分程度で移動できるようになった。(中略)交通の便がよくなり、金融危機後もあまり取引価格が下がらなかった」(『日本経済新聞』2010年3月19日)。
2023(令和5)年には、向原第二住宅団地を建て替えたマンション、プラウドシティ小竹向原が3LDKで9000万円程度の価格で販売開始され、申し込みが殺到したという。
その交通利便性の高さから、住宅地として注目を集めていることの裏付けと言えるだろう。だが市街地再開発事業は行われておらず、タワマンや高層ビル、大規模商業施設はなく、低層の街並みが保たれている。
小竹向原は再開発されない街
小竹向原は古くから人間の暮らしが営まれていた土地であり、江戸、明治期には近郊農村であった。第二次世界大戦を契機に農地が宅地化していったものの、道路などの都市基盤が整備されないままに市街化が進み、密集した住宅地が形成されている。
1983(昭和58)年にようやく鉄道が開通し、その後路線の増加により交通利便性が向上したが、再開発されることなく閑静な街並みを維持している。
後編では、小竹向原はなぜ再開発されないのか、理由を分析する。
