米アルファベット傘下のグーグルは19日に開催した年次開発者会議で、検索画面に人工知能(AI)エージェントを直接落とし込んで人の代わりに作業をする機能や、AIモデル「ジェミニ」のより高速で安価な新バージョンを公開した。企業顧客の取り込み競争で、勢いを増すライバルのアンソロピックやオープンAIの攻勢を抑える狙いだ。
今回グーグルは買い物の実行、チケットの空き状況の監視、スケジュールのリアルタイムな計画などの作業を自律的に完了する一連のAIエージェント機能も披露し、検索や動画投稿サービス「ユーチューブ」を含む中核となる消費者向け製品を強化した。
アルファベットのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は「人々が検索でAI搭載機能を利用すると、検索の利用頻度が高まる」と説明した。
ピチャイ氏をはじめとするグーグル幹部らは、これまでAIによる破壊的混乱の脅威や、それによって生まれた新たなライバルたちに対して守勢に立たされていたが、今回のメッセージではAIの未来の進路を自ら宣言しようと試みた形だ。
グーグルの「ディープマインドAIラボ」を率いるデミス・ハサビス氏は「この時代を振り返った際に、われわれはシンギュラリティー(技術的特異点=全人類の知能をAIが上回る状態)の麓に立っていたことに気づくだろう。それは人類にとって深遠な瞬間になるはずだ」と語った。
グーグルは、進化したAIモデル「ジェミニ3.5」ファミリーを使用した一連の新ツールも発表。コーディングや自動化タスク向けに設計されたモデル「ジェミニ3.5フラッシュ」を公開し、ピチャイ氏は「3.5プロ」を来月投入すると明らかにした。
アルファベットは、ユーザーが最上位AIモデルにアクセスできるサービス「AIウルトラ」の定額利用料金を、月額250ドルから200ドルに引き下げた。また開発者やその他の仕事関連のユーザー向けに調整された、月額100ドルで定額利用できる同サービスも発表した。
競争の舞台が多額の予算を持つ法人顧客へと移る中で、グーグルが低コストを前面に打ち出していることがうかがえる。
ピチャイ氏は、大企業のようなヘビーユーザーはグーグルのモデルに切り替えることで年間10億ドル超を節約できると指摘。会議前のブリーフィングで記者団に対し、他の最先端モデルと同等のパフォーマンスを最大3分の1のコストで提供できると胸を張った。
さらにアンソロピックが市場をリードするAI主体のコーディングアシスタント「クロード・コード」に対抗するために「アンティグラビティー」の新バージョンも打ち出した。
19日には、さまざまなアプリから情報を抽出してレポートの草稿を作成し、スケジュールを管理する新しい常時可動型AIエージェント「ジェミニ・スパーク」も披露された。
ピチャイ氏によると、ジェミニの月間ユーザー数は現在9億人で、昨年5月の約4億人から2倍以上に増加した。
