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「投資を始める」から、「投資の中身を考える」段階へ移行・・・資産運用で見直す、ポートフォリオの偏り

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他者との比較ではなく「自分の将来設計に合わせた」資産形成がなぜ必要?
  • 資産運用広告特集 制作:東洋経済ブランドスタジオ
新NISAの普及により、個人の資産形成の動きはさらに加速している。一方で、特定の金融資産に資金が集中するなど、ポートフォリオの偏りも見られる。「投資の本質は商品選びではなく資産配分にある」と語るファイナンシャルプランナーの水上克朗氏に、分散投資を軸とした資産設計における考え方や、投資において意識すべきポイントを聞いた。

「資産形成を始めた後」が問われる時代

――新NISAの開始以降、投資を通じて資産形成を始める人が増えています。この状況をどのようにみていますか。

他者と比較をするのではなく、「自分の将来設計に合わせた」資産形成が必要
ファイナンシャルプランナー・企業コンサルタント
水上 克朗
慶応義塾大学卒業後、大手金融機関に入社。ダブル相続や早期退職勧奨、定年退職、再雇用といった経験をする中で、ファイナンシャルプランナーの知識を生かしてライフプランや家計の見直し、資産運用などの観点からの相談、執筆、監修、講演活動を行う。2023年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。J-FLEC認定アドバイザー(金融経済教育推進機構)。著書に『50代から老後の2000万円を貯める方法』(アチーブメント出版)、『見るだけでお金が貯まる 賢者のノート』(自由国民社)

非常に良い流れだと思います。これまでの日本は預貯金中心でしたが、物価上昇や長寿化を背景に、資産形成の必要性が広く認識されるようになりました。実際に、NISA口座は1年で250万口座以上新規に開設され、成人の4人に1人がNISA口座を保有している状態です※1

投資を始めること自体も大切ですが、より重要なのは「始めた後」です。商品を購入しただけで資産形成が完結するわけではなく、その投資を自分の資産全体の中でどう位置づけるのかが問われます。今は、投資を始めたかどうかではなく、どのように設計しているかが重要となる段階に入っていると考えています。

――その「設計」において、まず何を確認すべきでしょうか。

最初にみるべきは資産全体の配分です。資産運用の成果は、この配分で決まるといっても過言ではありません。特に経営者層・マネジャー層は、人的資本と金融資産のリスクが同じ方向に偏りやすい点に注意が必要です。どの資産をどういった割合で持つかによって、運用成果の大半が決まると考えています。多くの方は「どの商品が良いか」という視点で考えがちですが、本当に重要なのは全体のバランスです。

株式に偏りすぎていないか、現金・預金に寄りすぎていないか、あるいは特定の国や地域に集中していないか。すでに投資をしている方ほど、知らないうちに偏りが生じているケースも少なくありません。実際、日本では諸外国と比較して現金・預金の割合が高い傾向にあります※2。まずは現状を正確に把握し、自分にとって適切な配分に近づけていくことが出発点になります。

――分散投資の意義はどこにあるのでしょうか。

分散投資の意義は、リターンを当てにいくことではなく、仮に予想を外しても生活に影響しない状態をつくることにあります。「卵は1つのカゴに盛るな」という格言もあり、1つの資産や地域に集中していると、下落時の影響が大きくなります。結果として不安に耐えきれず、売却してしまうという可能性が高まります。

投資成果を左右する最大の要因は、商品ではなく感情です。その意味で、分散はリスクを抑えるだけでなく、市場の変動に惑わされず長く持ち続けるための方法でもあります。分散投資は、長期的な資産形成を行うための基本的な考え方だといえます。

「人生設計」で変わる資産配分

――ポートフォリオの見直しは、どのような視点で行うべきでしょうか。

ポートフォリオを見直す際には、まず資産を目的ごとに分けて整理することが重要です。すぐに使う生活資金、数年以内に使う予定の資金、そして長期で殖やしていく資金では、求められる役割が異なります。投資信託だけでなく、株式投資や不動産投資などさまざまな選択肢がありますが、それぞれに適した置き場所を選ぶことが、無理のない資産運用につながります。

特に重要なのは生活防衛資金の確保です。一定期間の生活費を確保しておくことで、相場が下落した局面でも慌てて資産を売却せずに済みます。近年はNISAを活用する中で生活資金に余裕がなくなる「NISA貧乏」といわれるようなケースも見られます。資金の性質を整理し、投資に回す金額を適切に設定することが大事です。

――ライフステージによっても配分は変わりますか。

年齢や収入の状況によって配分は変わります。若いうちは時間を味方にできるため、ある程度リスクを取ることも可能です。一方で、年齢が上がるにつれて、資産を守る視点や取り崩しの設計が重要になります。退職後は、どのように殖やしたいかではなく、どのように使い続けるか、いくら使いながら維持できるかが中心テーマになります。実際に50代、60代の方から「退職金をどう運用すべきか」「老後資金をどう守るのか」という相談をいただく機会が増えています。

また、収入が安定しているかどうかも重要な要素です。収入の変動が大きい場合は、金融資産では守りを厚くするなど、全体でバランスを取る必要があります。資産配分は利回りの最大化ではなく、人生に合わせて無理なく続けられる形で考えるべきものです。

――現在の運用に不安を感じている読者に、どのように伝えますか。

運用が十分かどうかは、他者との比較ではなく、自分の将来設計に合っているかで判断するべきです。利回りや人気の商品に目が向きがちですが、本来は必要な資金に対して足りているかを確認することが重要です。そのためには、将来の収入と支出を「見える化」することが欠かせません。ライフプランを整理し、キャッシュフローの推移を把握することで、どの時点で資金が不足するのか、どこに余裕があるのかが見えてきます。

不安の多くは、この見通しが立っていないことから生まれます。逆に言えば、将来の資金計画が整理されていれば、必要な水準に達しているかどうかを判断でき、過度に不安を感じる必要はなくなります。資産運用は商品選びではなく、人生設計そのものです。偏りを見直し、自分に合った配分を見つけることが、長期的に資産を維持し続けるための前提ではないでしょうか。

※1 出所  金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点(速報値))」
※2 出所  日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」