投資が浸透する中で、浮かび上がる課題
投資環境はこの数年で大きく変化した。新NISAの開始を背景に個人投資家の裾野は広がり、株式投資は特別な行為ではなく、日常的な資産形成の手段として定着しつつある。
朝日ライフ アセットマネジメント 代表取締役社長の藤岡通浩氏は、「かつては、株式投資は一部の人のものという見方がありました。しかし今は、自然に行われるようになっています。以前は機関投資家の動きが中心でしたが、市場では個人投資家の存在感も増しています」と話す。加えて、「お客様からの問い合わせの内容も変化しています。以前は下落時における不安の声が多かったのですが、最近は『今が買い時ですか』といった前向きな問い合わせが増えています。実際に、相場が下がった局面でも押し目で買いの動きもあり、個人投資家の行動が変わってきています」と、近年の変化を感じているようだ。
こうした変化は市場の下支えにもなっている一方で、新たな課題も浮かび上がっている。資金の流入先は先進国やグローバルの株式に投資するファンドに集中し、インデックスファンドだけでなくアクティブファンドでも、上位の組み入れ銘柄は似通っているケースがある。
「複数のファンドに投資していても、実際には組み入れ銘柄が重複していることが少なくありません。そのため、分散投資しているつもりでも、個別銘柄で見ると分散が利いていない場合があります。投資信託に投資すれば分散されるという理解は一般的ですが、その中身まで見ることが必要です」
こうした環境の中で、同社が一貫して掲げてきたのが「長期資産形成に資するファンドに限定する」方針だ。流行に乗ったテーマ型商品はあえて手がけず、商品数も絞り込む。分配方針の違いを除けば、純粋な株式投信は10本程度にすぎないという。
藤岡氏は「短期的な相場に合わせて商品を増やすのではなく、お客様に長く持っていただき、資産形成に役立てていただけるものを提供したいと考えています。売買を前提とした商品ではなく、時間をかけて価値が発揮されるファンドを届けたいという思いがあります」と力強く語る。
指数と重ならないポートフォリオがもたらす効果
長期の資産形成を前提としたファンドに力を入れる同社のラインナップの中で、注目を集めているのが「WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型/予想分配金提示型)」だ。評価機関による各種アワードを受賞※1するなど、同社の中でも位置づけの高いファンドとなっている。なお当ファンドの類似戦略は約15年で13.2倍(米ドルベース)の運用実績を記録※2している。
このファンドの特徴は、インデックスを意識せず、ベストアイデアに基づいて厳選した30~50銘柄に投資することにある。
さらに、指数との重なりが小さい点も特徴だ。一般的なアクティブファンドは、ベンチマークとの乖離を意識しながら運用されることが多く、銘柄構成は指数に近づきやすい。これに対し同ファンドは、そうした制約を置かずに銘柄選定を行う。IPO(新規株式公開)直後の企業にも着目して投資することもあり、アクティブシェアは95%前後(インデックスとの重複が5%程度)とされ、指数とは大きく異なるポートフォリオだ(2025年12月時点)。結果として、ほかのファンドと銘柄が重複しにくい構造になっている。
「成長株も含め、異なる視点で選ばれた企業に投資することに意味があります。既存のファンドと組み合わせることで、ポートフォリオ全体の分散効果を高めることができます」
銘柄選定では、企業文化や参入障壁といった定性的な要素を重視する。単に成長率が高い企業ではなく、その優位性が持続するかどうかを見極め、長期的な成長につなげる考え方だ。もっとも、銘柄数を絞った集中投資である以上、短期的な値動きは大きくなりやすい。金利上昇局面では成長株が不利となる場面もあり、短期ではパフォーマンスが振れる可能性がある。この点について、藤岡氏は長期投資の重要性を強調する。
「短期的な変動は避けられませんが、長い目で見ていただくことが重要です。5年、できればそれ以上の期間で保有していただくことで、企業の成長を捉えることが可能になると考えています。また、組み入れ企業は財務体質にも配慮されており、過度な負債に依存しない企業が中心です。これにより、金利環境の変化に対する耐性も一定程度確保しています」
投資の裾野が広がる中で、分散投資のあり方も見直しを迫られている。資産配分はもちろん、銘柄レベルでの重複をどう避けるか。その問いに対し、異なる構造を持つファンドを組み合わせるという発想は、これからの資産形成において現実的な選択肢となりうる。
最後に、「お客様の資産形成に長く寄り添える商品を提供していきたいと考えています」と語る藤岡氏。分散の“形”ではなく“中身”を問い直すことが、これからの資産形成において重要となりそうだ。
※2 当ファンドと同様の運用手法で運用されているコンポジットの運用実績(運用報酬控除前、米ドルベース、2011年3月末〜2025年12月末)であり、当ファンドのものとは異なります。また、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
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