モリゾウこと豊田章男会長は常々「厳しい道で、厳しいドライバーが、厳しく評価することで、クルマが壊れてそして課題が出る。それを直すことでクルマが改善される」と主張している。
第3周回路のガードレールの一部には生々しい傷跡があるが、それも厳しい評価の証明であるとして、あえて残してあるという。
そのうえで豊田会長は、クルマの動きがドライバーの操作と高い次元でシンクロ(同期)する「クルマと会話ができるクルマ」の実現を、TTC-Sの関係者に強く要望しているという。
開発中車両との並走というパフォーマンス
そんなバスツアーの中で、量産に向けて開発中の「GR GT3」や、屋根に大きなインタークーラーを搭載した「GRヤリス Mミッドシップコンセプト」がバスと並走し、そして追い抜いていくというパフォーマンスを披露してくれた。
まさに、「いま、開発の現場に立ち会っている」という気持ちになる。
こうした走行車両には、高い精度のGPSを装着しており、自車の周囲に他車が近づいていた時に警告を鳴らすなど安全対策も行っている。ブラインドコーナーが多いコース設定としては必然だ。
バスツアーの終盤、筆者は 「(トヨタが所有する他メーカーの)比較車両は別として、他のOEM(メーカー)からこのコースを使用したいとの要望はないのか?」と聞いたが、対応したGRのチーフエンジニアの認識では「過去のそうした事例はない」とのことだ。
ちなみに、ニュルブルクリンクは行政機関との関係が深い企業が施設を運用し、トヨタを含めた自動車メーカー各社が貸し切り、または合同でコースを使用するシステムを採用している。
そんなニュルブルクリンクの周辺には、自動車メーカー各社がTTC-Sでの実験棟・車両実験棟のように、走行データを現場で解析する施設を設置しているものの、あくまでもコース外のピット(ガレージ)のような位置付けにとどまっている。
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【なぜ、トヨタはそこまでやるのか?】
