ただ、昔のコント映像と新しく撮影された観客席のリアクションの映像は、明らかに映像としての質感が違う。生の現場でコントを見ている人のリアクションを撮っているわけではないので、何とも言えない違和感がある。
にもかかわらず、この番組ではその観客の反応を小窓で流すだけではなく、画面全体を使ったクローズアップでたびたび流していた。そこに押し付けがましさとしつこさが感じられて、後味の悪さが残った。
この批判が大きくなった最大の理由は「8時だョ!全員集合」という番組が日本のテレビコント史における「原典」のような存在だからだ。「全員集合」は、公開収録、生放送、大掛かりな舞台装置、子供にも直感的に伝わるわかりやすさ、そして会場全体を巻き込む勢いによって成立していた番組である。かつての番組ファンがこの特番に求めていたのは、昭和のテレビが持っていた巨大な熱量そのものだった。
現代的な説明テロップがノイズに
だからこそ、視聴者はそれをありのままの形でじっくり味わいたかったのである。現代のバラエティ番組のワンコーナーとしてお手軽に消費したかったのではない。ドリフのコントは、動き、間、客席の反応、セットの構造、カメラの切り替えまでを含めて1つの作品である。彼らの仕草やリアクションを視聴者が自分の目で追うところに快感がある。
そこに現代的な説明テロップや、タレントが笑っているワイプが差し込まれると、笑いの焦点がぼやける。コントそのものではなく、「コントを見ている人たちの反応」を見せられる番組になってしまう。
もちろん、テレビ局側から見ると、ワイプやテロップの多用にはそれなりの合理的な理由がある。ビジネス上の理由から視聴率を稼ぐことが至上命題となっているため、数字を取るためにできることは何でもやらなければいけない。
次ページが続きます:
【制作者の思惑とは?】
