台湾交通部観光署(日本の観光庁に相当)の統計によれば、台湾社会には強い海外旅行志向があるとされる。台湾の総人口は約2340万人だが、2024年の出国者数は約1684万人に達した。単純計算では、国民のおよそ7割が1年間に一度は海外へ渡航していることになる。そして、そのうち約4割が渡航先として日本を選んでいる。
台湾人に人気の訪日先としては、買い物や最新トレンドの発信地である東京が依然として高い人気を誇る。一方で、雪への憧れや海鮮料理を好む食文化の近さから、北海道も東京に匹敵する人気を集めている。
さらに、人情味があり親しみやすいとされる大阪、台湾から距離的に近く食文化や風土にも共通点が多い沖縄、そしてTSMC進出の影響で台湾との結び付きが急速に強まった熊本なども注目度が高い。これらの地域とは1日に複数便の航空便が運航されており、そこを拠点としてさらに地方観光へ足を延ばす旅行者も増えている。
台湾人が憧れる日本の文化
台湾人が日本旅行に求めるものとしては、「日本でしか味わえない五感の体験」を挙げる声が多い。
例えば食文化では、本場ならではの味を体験したいという欲求が強い。ラーメン、寿司、和牛、焼き肉などは台湾でも高水準の店が多いが、現地化が進んでいる面もあり、「本場と比べてみたい」という意識につながっているとされる。
また、台湾では「限定」という言葉に魅力を感じる人が多いとも言われる。その季節、その土地でしか体験できないものに価値を見いだし、特別な時間を求める傾向があるためだ。
四季の風景も大きな魅力となっている。台湾でも高山部では雪を見ることができるが、日本のような本格的な雪景色や広範囲の紅葉を日常的に楽しめるわけではない。
温泉文化についても同様である。台湾にも温泉地は多く存在するが、旅館に宿泊し、懐石料理を味わいながら湯に浸かるという体験は、日本ほど身近ではない。台湾人にとって、日本の風景や旅館文化は、幼少期から映像や書籍を通じて親しんできた「憧れの情景」でもある。
さらに、台湾国内で同様の体験をしようとすると、移動や費用の面でコストパフォーマンスが高いとは言いがたい。そのため、総合的に考えて日本旅行が選ばれやすいのだという。
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【台湾国内の旅行事情は?】
