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「わが子の時は何もできなかった」——元IT管理職が56歳で退職し「引きこもり」の若者を救う「塾」を開いた信念

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塾生とコーチたち
「八おき塾」のランチ会のため、食事を作る塾生とコーチたち(写真:八おき塾提供)
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鳥巣さんの手にかかると、引きこもりという重たい話題も朗らかに聞くことができるから不思議だ。

八おき塾に興味がある親や当事者だけでなく、鳥巣さんは自分の知り合いなどもどんどん八おき塾に呼んでくる。訪れてくれたゲストをもてなすのはもちろん塾生の役目だ。

「ゲストが来るってことは塾生には特に言わないです。聞かずにぶっつけ本番で、『あ、来たよ、頼むねぇ』っていうと、だいたいみんな『あ、ああ』みたいな感じで対応してくれるんです」

鳥巣さんに笑顔で「頼むね」と言われてしまうと、断る隙はなくなってしまうのだろう。

みんなで協力して作る「食事」の力

何気ないようなことに見えるが、自分たちで考えて、おいしい料理が作れたという成功体験の積み重ねや、知らない人とのちょっとしたコミュニケーションが、やがてその子の自信へとつながるのだと鳥巣さんは教えてくれた。

ある日のランチ会は酢豚と中華スープ(写真:八おき塾提供)

一度引きこもってしまった青年たちが家から出るのは相当な勇気がいるはずだ。ふと、新見南吉の『てぶくろを買いに』を思い出した。

「本当に人間はいいものかしら。本当に人間はいいものかしら」

迷いの気持ちをつぶやく母狐。青年たちは、八おき塾に通うことで、人の善意とぬくもりに触れ、外の世界を確かめている。

【この記事の前編】MARCH合格で上京するも挫折し大学へ行けず…ひきこもった青年が地元福岡の「塾」で再起し、就活を始めるまで

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