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MARCH合格で上京するも挫折し大学へ行けず…引きこもった青年が地元福岡の「塾」で再起し、就活を始めるまで

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料理を作る青年たち
八おき塾では塾生とスタッフで一緒に食事を作り、コミュニケーションを深めていく(写真:八おき塾提供)
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トモアキさんがこの八おき塾に通い始めたのは昨年7月のことだ。「親は前から相談していたみたいで、初めはなんか、無理矢理に連れてこられたって感じでした」と笑う。

八おき塾のやり方はかなり“おせっかい”。まずは、トモアキさんの家にコーチが会いにいくことから支援が始まる。

トモアキさんの担当になったのは吉永さんというコーチ。何度かの訪問の中で吉永さんは八おき塾でやっているランチ会に誘ってくれた。しかし、「気が向いたらおいで」という気楽な言葉ではトモアキさんの気持ちはなかなか動かなかった。

結局、トモアキさんが八おき塾を訪ねたのは、ひょんなことがきっかけだった。ある日、トモアキさんは母親との些細なけんかで髪の毛を切ることにする。

「僕、パソコンのゲームをやっているんですけれど、母とけんかして、ネットの回線を切られたんです。そうしたら母親が、『髪の毛切ったらつなげなおしてあげる』と言うので、じゃあ切るよ、と近所の美容院へ行ったんです」(トモアキさん)

鎖骨まで伸びきっていた髪の毛を切り、自宅に帰ると吉永コーチが待っていた。

「髪を切った僕を見た吉永さんが、なんかいけると感じたらしくて、そのままここ(八おき塾)に連れてこられました」(トモアキさん)

出迎えてくれたのは「おじさん」

「いらっしゃい」

トモアキさんを満面の笑みで出迎えてくれたのは、八おき塾の代表の鳥巣正治さんだった。

八おき塾ではメンバーが一緒に食事を作り、歓談していた。居心地も悪くなかった。コーチや仲間と一緒に食事を作ったり、何気ない会話をする中で、トモアキさんの気持ちも徐々に前向きに変わっていった。

鳥巣さんによれば、何度転んでも大丈夫なんだと思えたら、若者は自然と立ち上がっていくという。ただし、大人が前に出過ぎないことが肝要だ。前から引っ張るのではなく、後ろからそっと背中を押す、それが何より大切なのだと、鳥巣さんは語る。

自分の誕生日に塾生が作ってくれた手作りケーキを手に満面の笑みを浮かべる代表の鳥巣さん(写真:八おき塾提供)

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【無気力だった彼はもういない】

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