それなら、これ以上の攻撃は必要ないように思うのだが、なぜ攻撃に踏み切ったのか。バンス副大統領は、核兵器の開発能力について「長期にわたり、イラン側が持たないことを求めている」と述べた。
こう見てくると、これまで長い間続いてきたアメリカとイランの交渉を、トランプ大統領が突然、軍事作戦で終了しようとしたことが、今回の衝突の根源的な原因であることがわかる。
イラン革命防衛隊と連携するタスニム通信は、アメリカの「過度な」要求が合意の妨げになったと報じた。イランのほかのメディアは、一部の問題では合意があったものの、ホルムズ海峡とイランの核計画が主な相違点だったと伝えた。
バンス氏の会見に先立ち、イラン政府は「いくつかの相違は残っているが、交渉は継続する」とXに投稿。双方の技術専門家が文書を交換するとしていた。
トランプ氏は、アメリカはすでにイランの指導部と海軍と陸軍を滅ぼしたという持論を繰り返した。では、なぜ攻撃が必要なのか。
こうした疑問は残るのだが、もう1つの重要な懸念はホルムズ海峡の現状が放置されることだ。日本を含む国際社会にとって、交渉決裂がもたらす事態は深刻である。
つかの間の休息はいつ終わっても不思議ではない
現状は、恒久的な終戦には程遠い。そもそもイランは停戦の延長を求めていないと明言している。イスラエルがどこまでおとなしくしているかも不透明だ。1つでも歯車が狂えば、原油価格が再び急騰するリスクがある。
他方、 イランは海峡を支配する能力を誇示しており、海峡を通過する船舶への通航料徴収などを行っている。アメリカ軍による「逆封鎖」も本稿執筆時点では継続中だ。
足元の停戦延長は、ただ戦闘状態ではないというだけの、消極的なつかの間の休息にすぎない。状況次第ではさらに大規模な衝突へ発展するリスクを抱えた不安定状態といえる。
