分離課税から外れるものは多い。海外の取引所での売買、自分のウォレットで使うDeFi(中央の運営者を介さない金融サービス)、暗号資産を預けて利息のような報酬を得るステーキングやレンディング。これらはいずれも従来どおり総合課税のままで、最大55%の税率がかかる。
暗号資産の投資家が信頼を寄せる税理士、村上裕一氏のもとには「海外取引所やDeFiで一撃100倍、1000倍の利益を出した投資家」が少なくないが、「その方々は分離課税の恩恵を受けられない」という。
Excelでは計算できない? 4つに分かれる税制
対象範囲が限定されるだけではない。改正後、暗号資産の取引は課税の扱いが4つに分かれる。村上氏の整理はこうだ。
② 特定暗号資産以外の銘柄を国内取引所で売買した場合は、総合課税の譲渡所得で最大55%
③ 海外取引所や分散型取引所(DEX)での売買も、総合課税の譲渡所得
④ 暗号資産を預けて報酬を得るステーキングやレンディングは、原則として雑所得で総合課税
同じビットコインでも、どこで売るかで扱いが変わる。国内の登録取引業者を通じた売却であれば分離課税、海外取引所やDEXで売れば原則として総合課税になる。
ビットコイン自体はどこで保有していても同じビットコインだが、売却経路によって所得区分が分かれるという複雑さだ。「これをExcelで(取得価格を)計算するのは、もう無理です」と八木橋氏は言う。
ETFはさらに別枠だ。ビットコインETFは株式と同じ「有価証券」扱いで、分離課税20.315%、ほかの株式との損益通算もできる。「金の現物は総合課税だが、金ETFは分離課税。暗号資産も同じ構造」(井林氏)というわけだ。
分離課税の影響は、対象範囲と実務負担だけではない。少額の利益しか出していない普通の投資家にとっては、税率変更そのものがむしろ「増税」に働く。
次ページが続きます:
【増税になってしまうのはどんな人?】
