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中東情勢急変で再評価された短波によるNHKの国際放送/だが台湾の放送局と混信、受信困難というトラブルを招いた訳

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短波によるNHKの国際放送は中東情勢の急変における情報提供で評価されたが……(写真:show999/PIXTA)
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先述の通り、短波帯における電波の伝わり方は、衛星のように目的地まで直接電波が伝わるのではなく、電離層と地表の反射を繰り返し目的地の中東に届く。このアンテナは指向性だが「サイドローブ」と言われる、目的以外の方向にも電波が飛んでしまう仕組みであり、さらに出力300キロワットという大電力であれば、同じ周波数での日本国内での混信が避けられない。

今後も災害や有事の際には、短波放送拡大の措置が考えられる。今回のような混信が二度と起こらないように、しっかりとフィードバックされるべきだろう。

問題の再発を防ぐためには

混信の件で多くのリスナー有志がNHKへ問い合わせをした。筆者もちょうどその時、元総理関係者である松本彧彦(あやひこ)氏の取材をしていたため、同氏を介してNHKや総務省関係者に混信問題を伝えた。

先方からは明確な回答はなかったものの、3月26日にNHKが「短波放送2026年春夏期(A26)周波数切り替え」を発表したため、3月29日以降の混信問題自体は解決した。

しかし混信した相手が台湾の放送局だったため、別の特殊な課題も浮き彫りとなった。

台湾は電波管轄を行う国連機関「国際電気通信連合」(ITU)に正式に加盟しておらず、日本との正式な国交もない事情がある。

臨時送信の場合、緊急性を優先させるため、本来事前に必要な総務省の審査を経たのちに発行される「予備免許」が省略され、その「予備免許」発効後に総務省職員立ち合いの下で行う「落成検査」も送信開始後に行うことができるように緩和される。つまり、混信含めたダブルチェックが省略され事前に把握するのが難しくなっている。そのため諸問題の事前把握が求められる。

短波帯は電波の特質上、コンディションにより伝搬状況が大きく変わるため、周波数や時間帯もひんぱんに変更するケースも多くある。そこでつねに国内外の放送局との周波数や放送時間などの相互把握が必要となるだろう。そこには当然、台湾の放送局も含まれる。

また短波だけではなく、国内最大電力500キロワット放送であったNHKのAMラジオ第2放送が2026年3月30日に廃止され、その放送の送信設備は今後解体され、二度と使えなくなる。そういったラジオそのものの「ロストテクノロジー化」もまた心配となる。

コスト削減の一方で、いざという時に頼れるのはラジオということは、阪神・淡路大震災や東日本大震災を振り返ればわかるはずだ。こういった技術継承・維持も国策の一つではないか。

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