日本国内の放送局などすべての電波の技術操作を担う国家資格である「第一級陸上無線技術士」の試験において、近年は短波帯に関する出題はほとんどなされない。筆者が同試験を受験した際、電波やアンテナの科目「無線工学B」は全25問中、短波に関する設問は1つで、ほとんど学習しなくても合格できてしまう。
筆者は高校生の頃からアマチュア無線をやっていたため、短波帯に関する知識はあったが、今回の件で短波帯が日本ですでに「ロストテクノロジー化」しつつあることを痛感した。そういった放送の技術継承のためにも、第一級陸上無線技術士の国家試験では短波帯の出題は必須とすべきではと思う。
イラン情勢を契機に「混信」が発生
冒頭で述べた問題に戻ろう。NHKの中東向け短波放送の拡大により、「RTI台湾国際放送」の日本語番組と混信する事態が発生した。これは周波数と放送時間が重複したためだ。台湾国際放送は9.74メガヘルツにて日本時間20時から21時まで放送している。3月1日から拡大したNHKの中東向け放送も同じ9.74メガヘルツで送信した。
このとき、筆者は偶然にもRTIの担当者と打ち合わせをしていたため、混信しているという事態を知った。筆者が「第一級陸上無線技術士」として携わるコミュニティーFM局「ラジオ成田」とRTIとの共同番組を3月中旬に放送する計画があったためだ。
その際に混信問題について、短波帯愛好家であるリスナー有志と共に情報収集も行った。場合によっては企画の変更もありえたからだ。調査の結果、幸い埼玉や千葉では混信は軽く受信は可能であったが、茨城県より西側の電離層からの反射がある西日本の一部の地域はNHKと混信してRTIの受信が難しいことがわかった。これは、NHKの短波放送に使われる日本唯一の短波帯送信アンテナが茨城県にあったためだ。
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【再発を防ぐには】
