もうひとつの最注目作が、クライムサスペンス『田鎖ブラザーズ』(TBS系)。31年前に両親を殺された兄弟(刑事の兄役・岡田将生、検死官の弟役・染谷将太)が、未解決のまま時効になった同事件の真相と犯人を追い続ける。
本作は、2人が毎話の事件を解決しながら、縦軸で両親殺害事件の犯人を追う展開になっていきそうだ。第1話のひき逃げ事件から、被害者にも加害者にも裏があり、そこからより深層にある真相に迫る流れに引き込まれた。
本作で描かれる事件や出来事は、現代社会の闇となる現実の社会問題とのリンクがあるはず。『アンナチュラル』や『MIU404』に通じる骨太な社会派刑事ドラマになりそうだ。
重厚な本格サスペンスのストーリー性とその空気感に加えて、岡田将生と染谷将太が演じる兄弟の距離感と温度感がたまらないドラマファンは多いだろう。今期の考察視聴の本命になりそうだ。
松山ケンイチを愛でるドラマ
打って変わって、独特な味わい深さがある、ふんわりとした空気感のドラマが『時すでにおスシ!?』(TBS系)と『月夜行路―答えは名作の中に―』(日本テレビ系)だ。
『時すでにおスシ!?』は、子育てを終えた50歳で自分の時間と向き合うことになった女性が主人公(永作博美)。鮨職人を3カ月で育てる学校に入り、ワケあり鮨職人の堅物講師(松山ケンイチ)や、個性豊かな生徒たちと過ごす時間を通して、自分のために生きる一歩を踏み出す姿を描く。
心がほっこりと温まる日常系ドラマだが、連ドラ出演が続く松山ケンイチが輝いている。本作では、不器用にしか生きられない真面目で偏屈なクセ強の職人を演じるが、コミカルとシリアスの両面でキャラクターにハマっている。松山ケンイチのフィルターを通すことで役柄に感情移入して、寄り添ってしまう。
強面だけど可愛らしさのあるおじさんの滑稽さを楽しませる芝居は、彼の真骨頂ではないだろうか。その愛らしさに心を奪われる、松山ケンイチを愛でるドラマでもある。主人公と講師の過去のつながりの謎がフックになり、目が離せないドラマになりそうだ。
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【独特な空気感に引きつけられる】
