実はこのことを強く実感したのは、アメリカで社会人として働くようになってからなんです。日本では当たり前だと思っていたことが、むしろ強みとして評価される場面が何度もありました。時間を守ること。責任感を持ってやりきること。周囲に配慮すること。
そうした力は、意識して身につけたというよりも、日本の学校生活の中で、知らず知らずのうちに自分の中に根づいていたものです。そして、それが結果的に、自分の価値として認められることが多かった。外に出て初めて見える価値があるのだと思います。
これからの自身の子育ては…
――日本の中学教育についてはどう考えていますか。
私は日本の中学校教育については直接の経験がないので、すべてを実感として語れるわけではありません。ただ、自我を出したい、自分は何者かを考えたい時期に、周囲の目を気にすることが優先されてしまう環境だとしたら、それは少しもったいないと感じます。
小学校までに培われる協調性や基礎的な生活習慣といった良さはしっかり残しながら、中学校以降はもう少し「個」を伸ばす方向にシフトしていってもいいのではないか、と感じています。
学校としてシステムを大きく変えることが難しかったとしても、家庭でできることはあるはずです。学校のルールをそのまま受け止めるだけではなく、「自分はどうしたいのか」「本当は何を考えているのか」を問い続ける。
そうした関わり方をすることで、子どもにとっての選択肢は広がっていくと思います。
日本の教育には、すでに大きな強みがあります。時代に合わせて少しずつ形を変えていくことも大切ですが、今ある良さを認識することで「良いものを残しながら改善していく」ことができるのではないでしょうか。
――これからの自身の子育てについて。
夫はアメリカ人ですが、相談のうえ、息子はまず日本の小学校に通わせる予定です。ただ、その後については決まっていません。理想はあっても、タイミングもありますし、試行錯誤しながらやっていくことになると思います。
実は息子を妊娠・出産したのは、この映画の制作中でした。親になったことで、ドキュメンタリーの見方も少し変わってきたように感じています。私にとってドキュメンタリー制作は、仕事であると同時に人生そのものです。
自分の経験や、人間としての成長のすべてを使って向き合うものだからこそ、常に自分自身を磨き続けていく必要があると思っています。自分の人生そのものが、ひとつのドキュメンタリーになっている――そんな感覚で生きています。

