小泉:上の世代に聞いても「いや、そんなことあるわけないんだよ」と言われてしまう。それに対して「いや、それおかしいんじゃないの」という声が圧倒的に強くなっていく中で大人になったのが、僕たちロスジェネ世代です。
辻:見えている脅威の方向が、世代によって少し違うのかもしれません。
小泉:丹羽さんの分類法で言えば、僕はまさに「Z世代を戦争に引きずり込もうとしている悪い大人」の世代に入るのでしょう。でも、丹羽さんの言うことも分かるんです。彼らが「侵略者にならないこと」を安全保障の中核に据えた歴史的経緯は十分に理解できる。
だからこそ、僕たちが「侵略を受けないこと」を中核に据えている経緯も分かってほしい。直接話せば分かり合えるんじゃないかという期待があります。この対談の場に丹羽さんがいて、3世代で話せたら良かったな、というのが一番の感想ですね。
「失われた30年」と政治への不信感
辻:世代論で括ると結局は個人差の話になってしまいますが、あえて自分を主語にすると、私は平成7年生まれなので、「失われた30年」の間に生まれ育ち、一度も失われていない瞬間を知らない世代なんです。生まれてこのかた、ずっと失われ続けている世代。
自分たちの国が上向きになるような、社会全体がポジティブな空気に包まれた時代を知りません。テレビドラマなどを見ても、だんだんと社会がしんどくなっていく空気を体感しながら大人になりました。
だから、基本的には「現状維持」や「これ以上悪くならなければいい」というリスクヘッジ的な思考がかなり強い世代です。そうした状況を作った責任の一端は政治にもあると感じているため、政治や政府に対して、政党に関係なく、自分たちの生活を良くしてくれる存在だという感覚が欠落している人が多いように思います。
「手取りを増やすって言ったってどうせ増えないじゃん」「言ってることとやってることが違うんでしょ」「政治に期待するより自己責任」という冷めた感覚がある。
小泉:なるほど。その政治不信が、安全保障の議論にも影響していると。
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【「深刻な政治不信」が招く安保への懸念】
