もっとも効くと思われる抗がん剤から使用するのが、現在の抗がん剤治療の基本的セオリーなので、まず勧められる抗がん剤治療を行って、残念ながらその効果に期待が持てないと腑に落ちるときが来たら、自分から治療を控えるという選択をしてもいいのではないでしょうか。
乳がんに抗がん剤が有効だと思われ始めた頃、医師になって2年目の病院で、乳がんでがん性胸水※がある若いご婦人にプロトコール(マニュアルのようなもの)に沿った抗がん剤を使用するように、上級医から指示されました。
そして論文をしっかり読んで、抗がん剤を投与しましたが、骨髄抑制※となり、血小板が減少し、脳内出血を起こして、急逝しました。小学校に行く前のお子さんが2人ベッドサイドで、事態の深刻さを理解できずにたたずんでいる光景を今でも忘れません。
私が抗がん剤を使用しなければ、もっと長生きしたでしょう。そして、抗がん剤の使い方を私がもっと熟知していれば、こんな不幸なことにはならなかったでしょう。ガイドライン至上主義、標準治療至上主義では同様なことが起こるのです。若い頃の本当に苦い思い出です。
※がん性胸水:がんが胸膜に広がり、胸の中に水がたまって息がしにくくなる状態 ※骨髄抑制:骨髄の機能が低下して血液細胞の生産能力が下がること
インチキ医療やトンデモ医療を排除
では、なぜ多くの情報発信者(特に腫瘍内科医や外科医、放射線科医)は、「標準治療は保険診療だ!」と言いたいのでしょうか?
それは彼らの目線からするとインチキ医療/トンデモ医療を排除するために、わかりやすいメッセージだからです。
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