即戦力育成か、人間力の涵養か? ニデック永守氏が京都先端科学大学で問われる「長期の実学」と新たな「良心」

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永守重信
81歳にして晩節を汚すこととなった永守氏。新たな「良心」が問われている(撮影:ヒラオカスタジオ)
2月26日、ニデック創業者の永守重信氏は同社の名誉会長を辞任し、経営の第一線から完全に身を引いた。昨年12月にはすでに代表取締役など経営に関わる役職をすべて降りており、この日をもって名実ともにニデックの経営から離脱したことになる。
主要メディアは今日に至るまでニデックの会計不正問題を大きく報じ続けているが、筆者は、永守氏が理事長を務める京都先端科学大学が「終わった(とみられている)人」の本格的再デビューの舞台になるのではないかとみている。
日本の経営史を振り返ると、創業者が大学経営に乗り出す事例は珍しくない。「我輩は125歳まで生きるのじゃ」と豪語していた早稲田大学の創立者・大隈重信氏のごとく、自宅にトレーニングルームを設置し、健康管理を怠らない永守氏も古希(70歳)を迎えたとき、「125歳まで生きる」と宣言していた。
はたして、永守氏は第2の人生を開けるのか。本稿では前編・中編・後編の3つに分け、中内㓛氏が設立した流通科学大学との対比を通じて、永守氏と彼が理事長を務める京都先端科学大学の今後について論じてみたい。
前編:ニデック永守氏の"次なる舞台"? ダイエー中内氏が創設した流通科学大学の盛衰に見る「企業系大学」の厳しい現実
中編:強烈なトップダウン経営は大学に通用するのか? ニデック永守氏「第2の人生」に潜む強権的マネジメントの罠

(外部配信先ではハイパーリンクや画像がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンラインでご覧ください)

「稼げる実学」だけで十分なのか

文部科学省は近年、大学教育の実務志向・理系シフトを強く推進している。即戦力人材の育成、産学連携の強化といった方向性は、経済界の要請とも合致している。永守氏が京都先端科学大学で目指してきた教育モデルは、この時代の要請に正確に応答していると考えられる。

ただし、「稼げる実学」だけで十分なのかという疑念は残る。

中内氏も永守氏も、圧倒的な実務能力と行動力で時代を切り開いた。しかし、その経営の晩年に噴出した問題は、いずれも倫理とコーポレートガバナンス(企業統治)に関わるものだった。ダイエーの経営破綻は拡大路線に歯止めが利かなくなった結果であり、ニデックの会計不正問題は組織内の忖度と監視機能の欠如が招いたものだ。

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