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「夜勤4回でやっと普通」現役看護師が明かす"給与の中身" 病院奨学金で「お礼奉公」の不条理――看護師とお金のリアル

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学ぶ看護師
現在も多くの看護学生が利用している「病院奨学金」にはいくつかの問題が…(写真:Ushico/PIXTA)
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返還以外にも連帯保証人をめぐる問題や、奨学生であることによるハラスメントなど、多くのトラブルが発生しており、なかには訴訟に発展しているものもある。

あるケースでは、奨学金を貸与した病院が、採用試験で不採用となった看護学生に、奨学金の一括返還を求めた。

学生側は病院側の都合で不採用になったことや、契約内容では試験で不採用となった場合の取り扱いについて記載はなかったことを理由に、返還には応じられないとして、争っている。

看護師のキャリアの多様性が進み、奨学金の種類も増えた今、キャリアの自由を奪うともいえる病院奨学金へのニーズは減少するだろう。病院奨学金で人材確保していた病院にとっては、生き残りをかけた新たな戦略が求められている。

キャリアアップは自己研鑽か?

最後に、看護師のキャリアアップと給与の関係について見ていこう。

医療現場における看護師のキャリアは、それぞれの専門性を高める「スペシャリスト」と、管理部門として統括する「マネジメント」に大別される。前者では、医療の高度化・専門化、チーム医療の推進などを背景に、サブスペシャリストとして、高度な知識や技術を持つ「認定看護師」や「専門看護師」を目指す看護師が増えている。

先に管理部門になると手当がつきにくくなるため、むしろ給与が減るということは述べたが、では、スペシャリストではどうだろうか。

日本看護協会によると、2025年12月時点で認定看護師は約2万5000人、専門看護師は約3600人存在し、それぞれが、がんや感染症、救急などの現場で活躍している。

スペシャリストの看護師が関わることによって、患者の治癒を早めたり、チーム医療の質の向上につなげたりしている、と研究でも明らかになっている。だが、こうした貢献が収入アップに十分につながっていないどころか、資格を取得しようとする看護師らの障壁にもなっている。

まず、以下の表にあるように資格を取得するプロセスには大きな時間的・経済的コストが伴う。

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【自己研鑽が報われない現場】

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