累計1030万体のロングセラー人形「メルちゃん」を筆記具メーカー「パイロット」が作ったワケ "お世話人形"界の一強を生んだ、意外な背景
技術の活用事例はほかにもある。同社広報部の竹尾麻里子さんは、
「筆記具から派生した技術から、宝飾やセラミックス製品なども作っています。宝飾品は万年筆の金属加工の技術を、セラミックス製品はシャープペンシルの芯の製造技術を応用しています。直近では、メタモカラーの技術を使って色の変化を楽しめる器を販売しています」
筆記具の技術で玩具や宝飾が生み出される。メルちゃんは筆記具メーカーだからこそ誕生した人形なのだ。
「パイロット」に接する“最初の一歩”が玩具
玩具事業部の土井菜摘子さんは、のべ16年ほどメルちゃんに携わってきた。
かつて玩具事業部が「人形」を手がけた背景には、「もっと子どもたちに喜んでもらえるものを」という思いがあったようだ。
「それまでは金魚すくいなど単品のおもちゃを作っていたところ、『一緒にお風呂に入るというストーリがあり、かつダイナミックな色変化を楽しめるもの』という観点から抱き人形が作られました。赤ちゃん型の人形は各社から出ていましたが、お風呂に入れる人形は珍しかったのでは」
メルちゃんはお風呂に一緒に入ることができる「抱き人形」「お世話人形」として誕生。髪色の変化をダイナミックに表現できるよう、頭の大きさや毛量も試行錯誤しながら作られた。
発売後、「メルちゃんのお世話をしたいからお着替えが欲しい」「おんぶひもが欲しい」などの声が多く寄せられたという。お世話人形としての需要の高さがうかがえる。
93年に「おせわだいすきメルちゃん」、94年にお世話全般を楽しめる「おやすみセット」が発売される。以降、ベビーカーやおうちなどの周辺小物を増やし、遊びの幅を広げていった。
玩具事業部では、水でお絵描きできるペンや色が変わるお風呂おもちゃ、アヒル隊長シリーズなども手がけている。まだ筆記具を使わない小さな子どもたちが、気付けば玩具を通してパイロット製品に親しんでいることになる。





















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