累計1030万体のロングセラー人形「メルちゃん」を筆記具メーカー「パイロット」が作ったワケ "お世話人形"界の一強を生んだ、意外な背景

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パイロットは1918年に前身の並木製作所として創業した。万年筆の製造から始まり、38年にパイロット萬年筆に改称する。50年にインク(インキ)領域を扱うグループ会社「パイロットインキ」ができ、インクの研究開発が発展した。

メルちゃんはこのパイロットインキの玩具事業部で92年に発売された。玩具事業部は、21年に本体の「パイロットコーポレーション」に統合して現在に至る。

パイロット
東京・京橋のパイロットコーポレーション本社(撮影:尾形文繁)

さて、メルちゃんに関わる“すごい技術”とは何か。

75年、パイロットインキでは熱変色の材料「メタモカラー」の開発に成功した。「温度によって色が変わる」という性質の画期的なインクで、同年特許も取得している。魔法のようなインクを筆記具に応用するため、研究開発が進められた。

その過程で先に応用されたのが、色や絵柄が変わる紙コップやマグカップ、グラス、ハンカチなどのバラエティグッズだった。76年に「色変わり紙コップ」を発売し、玩具事業部がスタート。以降、技術やアイデアを受け継ぐ玩具製品が生み出されていく。

そして92年、一緒にお風呂で遊べる「おふろすきすきメルちゃん」が発売される。パッケージを見ると、お湯をかけると髪がピンクになることが前面に打ち出され、お風呂遊び人形という印象が強い。

メルちゃん
発売当時の「おふろすきすきメルちゃん」(写真左)と「おせわだいすきメルちゃん」。当時はピンクや赤のパッケージが使われていた(撮影:尾形文繁)

大ヒット「フリクション」のほうが後に生まれた

ちなみに、“消せるボールペン”として大ヒットした「フリクション」(06年)にも、メタモカラーの技術が応用されている。摩擦熱で色が透明に変わるインクに進化し、メタモカラー発明から30年以上を経て製品化されたのだ。

フリクション
こすると消える「フリクション」。ボールペンのほかマーカーやスタンプもある(撮影:尾形文繁)
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