東京建物×TGES「創エネ」で描くまちづくりの未来 再生可能エネルギーを「つくる側」になる意義

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東京建物 代表取締役 副社長執行役員 和泉晃氏、東京ガスエンジニアリングソリューションズ 代表取締役 社長執行役員 小西康弘氏
東京建物の環境配慮型物流施設「T-LOGI」。この施設は、東京建物自身がつくった再生可能エネルギー(以下、再エネ)が活用されている。そして今後のまちづくりにおいては、自ら再エネを生み出す創エネルギー(以下、創エネ)が最重要キーワードの1つだ。創エネを実践する東京建物の和泉晃代表取締役副社長執行役員と、その取り組みを支える東京ガスエンジニアリングソリューションズ(以下、TGES)の小西康弘代表取締役社長執行役員に、脱炭素社会に貢献する次世代のまちづくりについて語り合ってもらった。

根幹にあるのは、社会課題解決への思い

――気候変動問題は社会課題の1つです。両社は脱炭素社会の推進を、経営の中でどのように位置づけていますか。

東京建物 代表取締役 副社長執行役員 和泉晃氏
東京建物
代表取締役 副社長執行役員
和泉 晃

和泉 東京の近代化や不動産業の発展が社会課題であった明治時代に、創業者である安田善次郎が、その解決を使命として設立した総合不動産会社が当社です。そのため、社会課題の解決は根幹にある志であり、1896年(明治29年)の創業以来約130年にわたり時代の要請に応じて、さまざまな課題解決に取り組んできました。

近年では2030年を見据えた長期ビジョンとしてグループ全体で「次世代デベロッパーへ」を掲げ、SDGsの実現に取り組んでいます。「脱炭素社会の推進」、そして「循環型社会の推進」を重要課題(マテリアリティ)として特定し、当社自身も持続可能な企業として社会と環境に貢献し続けることを目指しています。

小西 脱炭素社会の推進は、東京ガスグループも創出すべき価値として、マテリアリティに設定しています。当グループの創業者は渋沢栄一で、彼は『論語と算盤』で道徳と経済の合一、つまり社会課題解決と経済合理性の両立を説きました。全国の法人のお客さまへガスや電力、エネルギーサービス、エンジニアリングを掛け合わせたソリューションを提供する私たちも、その精神を強く引き継いでいます。

さらに23年11月には、ソリューションを広く知っていただくためのブランド「IGNITURE」を立ち上げました。このブランドの下、「脱炭素」「最適化」「レジリエンス」の価値を提供し、お客さまの経営課題の解決に努めています。

物流施設と再エネ発電所を同時に開発し、余った電力をまちに届ける

――エリア全体におけるエネルギーの効率的な利用から、広域の再エネ活用まで、脱炭素はまちづくりにおいて欠かせないテーマです。

東京ガスエンジニアリングソリューションズ 代表取締役 社長執行役員 小西康弘氏
東京ガスエンジニアリングソリューションズ
代表取締役 社長執行役員
小西 康弘

小西 まちづくりの脱炭素化においては「スマートエネルギーネットワーク」の取り組みを進めています。発電時の廃熱を有効活用できるガスコージェネレーションシステムを導入することで、エリア全体へ熱と電気を供給します。当社独自システムでの最適制御により、徹底した省エネとCO₂削減をし、まちの価値向上と都市機能の高度化を実現します。

また、まちに供給するガスや電気の脱炭素化にも取り組んでいます。例えばガスはカーボンオフセット都市ガスの採用が進んでいますし、30年に向けてe‐メタン(合成メタン)の導入を目指しています。電気については、お客さまのニーズに合わせて再エネを供給するとともに、太陽光発電設備や蓄電池設備の導入も支援しています。

和泉 当社は、26年2月末、東京駅八重洲口前に竣工した複合施設「TOFROM YAESU TOWER(トフロム ヤエス タワー)」において高効率なサブプラントを導入し、既存の地域冷暖房※1設備と連結することで、エリア全体の脱炭素化と強靭化を最大限に進めています。ただ、都心部での脱炭素化には限界があることも事実です。太陽光発電システムが設置可能な土地や建物の面積が限られており、エネルギーの地産地消が極めて難しいのです。

そこで私たちが推進しているのが、自社による再エネ創出、いわゆる創エネです。当社はさまざまなアセットの開発を手がけており、その1つが物流施設「T‐LOGI」シリーズです。

T-LOGI習志野
T-LOGI習志野の様子

物流施設は広い屋根を活かして太陽光パネルを設置しやすく、消費電力量も少ないため、『ZEB』(Net Zero Energy Building)を達成しやすい特性があります。この特性を活かし、21年から屋根全面に太陽光発電を導入した『ZEB』仕様の「T‐LOGI」を開発し、創エネを推進しています。物流施設内での自家消費のみならず、太陽光パネルを最大限設置することで意図的に余剰電力を生み出しています。現在、「T‐LOGI」の太陽光発電容量は10メガワット(MW)を超えており、自己託送制度を活用して、発電量の半分以上を他エリアの自社施設へ再エネとして供給しています。

24年に自己託送制度の要件が厳格化※2され、新規での制度活用は困難となりました。ですが可能な限り創エネする方針は変わりません。池袋の「Hareza Tower(ハレザタワー)」や「TOFROM YAESU TOWER」など、都心のアセットにも、オフサイトコーポレートPPA※3の仕組みで引き続き再エネを供給していく計画です。

小西 「T‐LOGI」の創エネには、TGESのソリューション「ソーラーアドバンス」を採用いただいています。当社は20年以上前から、お客さまの土地や建物に発電設備を置かせていただき、熱や電力を供給するエネルギーサービスを展開しています。その知見を活かして始めたのが太陽光発電PPA「ソーラーアドバンス」です。「T‐LOGI」に採用いただいたことで注目を集め、今では主力事業の1つに成長しました。

営農地を活用し、より社会的な意義の高い「創エネ」へ

――両社のパートナーシップで、さらに新しい創エネにも取り組んでいるそうですね。

和泉 営農型太陽光発電事業に挑戦しています。これは、営農地に設置した太陽光発電設備でつくった再エネを都心の自社施設で利用すると同時に、創エネにより享受できる価値の一部を営農者や地権者の方々に還元する取り組みです。設備の建設や運用、維持管理の面でTGESさまにご協力いただいています。

小西 営農型太陽光発電は当社としても初めての取り組みです。東京建物さま主導の下、営農者の方々と意見交換を重ねながら設計しています。営農型太陽光発電では、農業を継続することが最優先であり、効率的に農業が行えるよう太陽光パネルの架台を配置する工夫が必要です。営農と発電を両立させて効率的かつ安定したエネルギーマネジメントを支援します。

和泉 脱炭素時代のまちには創エネが必須と考えています。当社は現在、東京都心部を中心に複数の再開発プロジェクトを進めています。今後とも未来を切り開くさまざまなソリューションをご提案いただき、創エネのパートナーとして協働していきたいですね。

小西 東京建物さまとの取り組みは、まさに「脱炭素」「最適化」「レジリエンス」の価値を提供する「IGNITURE」の理念を体現したものと考えています。脱炭素化は長期的な挑戦となりますが、東京建物さまをはじめとするお客さまと共に、未来のまちづくりに貢献していきます。

>TGESの事業やソリューションについて詳しくはこちら! 

※1 一定地域内の建物群に対し冷暖房や給湯用の冷水、温水、蒸気を製造、供給するシステム
※2 2024年2月、経済産業省「自己託送に係る指針」が改正
※3 企業(需要家)が自社敷地外(オフサイト)にある再エネ発電所から電力を調達する長期契約スキーム